5月27日帰国しました。
現地レポート/考察 →地方都市における政策推進に向けて②
バスククリナリーセンター
https://www.bculinary.com/es/home
世界初の4年制食の大学としてバスク政府、サンセバスチャン市、県が連携し2011年に創設。
<協議の目的>
・美食の町として世界中から観光客を集めているサンセバスチャンで、クリナリーセンターが街づくりにどのような役割を果たしているか、また行政がどう関わっているのか。
<概要>
・ガストロノミーオープンエコシステム
ガストロノミーをテーマに研究、イノベーション、企業、民間人との学科教室、実習
・学費は年間1万€=170万円ほど
・1学年100人の4年制、大学院も存在。マスターは1.5〜2年
1年生はスペイン国内での実践、2年生以降は国外
・ミシュランの星付きシェフが協力
・モンドラゴン大学の一部、運営にスポンサーもついている
・コラボレーション企業の一部が、イノベーションプロジェクトを一緒に開発
例えばリオハ地方のワイナリー開発など
・奈良県と連携実績あり 奈良に食の大学
なら食と農の魅力創造国際大学校 https://www.pref.nara.jp/62350.htm
・プライベートでのクッキング講習あり
・カフェテリアは1.2年生が利用一般も利用可能、作る人は生徒
・40%の生徒が海外から、南アメリカから来ることが多い
・年齢層は幅広く、6割のスペイン人は若い
・説明してくれた方は飲食業の勉強兼ねてきている、宿泊施設やレストランなど勉強している
・サンセバスチャンで就職したいと思っている人間は多いが、世界で就職が広がり、考え方が波及していく。日本で星持っているレストランMAZ Tokyoは卒業生。
・200人収容できる講堂があり、マスタークラスの生徒が主に利用、後ろはキッチン
シェフを招いて講師としている
・ガストロノミーの推進、そして理念として「360°」を掲げている。
これはプロジェクトの透明性を表す目的からきている。=誰が見てもわかるようにしている
・ガストロノミーの推進と理論的な部分
料理を教えるだけでなく、コマーシャル、実践と結びついている
外からプロのシェフが来て、サンセバスチャン市内でのイベント
国際映画祭や、夏の祭り、コンテストがたくさんあり特設会場設置されることが多い
よく学生が参加し出店や手伝いなど交流を広げていく
スターレストランのイベントがサンセバスチャンでは普通
ここからは自分の意見です↓
大学により食の社会的位置を高めること
=教育、就職のモティベーションをあげる
地域の産業に直結、経済的にも回収(税収のうち、教育、飲食による割合が高い)
料理人だけを育てるのではなく、「料理を起点にしつつ、旅行や産業を支える人材」も育成している
また、食と教育が自分たち(=市民)にとって重要な産業だ、と市民が認識することで、参加の仕方や人の育て方も変わってくるのではないでしょうか。
松山市は食と教育が大事な産業として捉えられているかどうか。
というか、もっとそうしていきたいと思いますが、地方の政策において、愛媛県において
それぞれすでに優れた人がいるとしても、そこに光と力を当て、「料理」「文化」「観光」のプロとして対外的にPRし人もの金情報の好循環を生み出すように行政が先導すること、エコシステムを産むこと。
自分たちの街を支える人間を、自分たちで産み育てること、
人を外に出し、帰ってくること。
人を外から受け入れ、返していくこと。
度々協議の中で出てきた、「エコシステム」がここでは、キーワードでした。生物学的には、「互いに依存しあって共存する生態系」を指しますが、ビジネス領域では業界や製品が互い連携し収益構造を生み出すこと、またそこに持続可能な、といった意味合いも感じました。
こんな、基本で、難しそうに思えてなかなかできていないこと に
自分は皆さんと取り組みたいと思います。
<余談ですが>
サンセバスチャンの市長はスポーツ組織(レアルソシエダ)の株を持っているそうです。それは、勝ち負けで、都市の価値があがったり下がったりすると思えば、必死になりますよね!
スペイン=リーガエスパニョーラのイメージも大きいのではないでしょうか。地方都市のいわゆるシビックプライド育成に非常に重要な役割を果たしていると感じました。
また説明では市議会は議員が27人、5つの政党があり月に1回集まるということです。
次のレポートは、工業〜芸術で飛躍的な発展を遂げたビルバオ、です。
ここも大変刺激を受けました。しっかり考えてお伝えしたいと思います。