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松山市の観光戦略は成功している?宿泊消費を増やす改善点とは

松山市で観光収益を伸ばすには?通過型観光から脱却する視点を解説

【この記事のポイント】

  • 松山市は、四国でも有数の観光入込数を誇る観光都市ですが、「日帰り・1泊2日で主要スポットだけ回って帰る」人が多く、宿泊数と滞在時間の伸びはまだ限定的です。
  • 正直なところ、観光資源そのものより、「どんな過ごし方を提案するか」「どんなお金の落ち方をデザインするか」で、収益の伸び方が変わります。
  • 通過型観光から脱却するには、「観光“地”としての松山」を売るのではなく、「松山で過ごす48時間の物語」を設計し、その中に宿泊・食・体験・買い物を無理なく埋め込むことが鍵になります。

今日のおさらい:要点3つ

  • 顕在ニーズ:松山市の観光戦略が成功しているのか、数字と現場感の両方から知りたいということです。
  • 潜在ニーズ:このままの戦略で、本当に宿泊消費やリピーターが増えていくのか不安だということです。
  • 行動ニーズ:観光関連の事業者・クリエイター・自治体関係者として、「収益につながる打ち手」を具体的に考えたいということです。

この記事の結論

一言で言うと、「松山市の観光戦略は“集客”という意味では一定成功していますが、“一人当たりの宿泊消費を伸ばす”という意味ではまだ伸びしろだらけ」ということです。

最も重要なのは、「何人呼ぶか」より「1人あたり何時間いてもらうか」「その時間の中でいくら・どこにお金を落としてもらうか」を設計し直すことです。

失敗しないためには、「道後温泉と松山城を見せる」だけで満足せず、「松山らしい2泊3日の過ごし方」をプラン単位で提示し、その中に地域の小さなプレーヤーの収益も組み込むことが欠かせません。

松山市の観光戦略はどこまで成功しているか

道後・松山城ブランドで“来訪”は取れている

松山市は、

  • 日本最古級の温泉の一つとされる道後温泉。
  • 現存12天守の一つである松山城。
  • 坊っちゃん・夏目漱石・司馬遼太郎など文学・歴史の文脈。

といった、全国的にも認知度の高い観光資産を持っています。

正直なところ、「一度は行ってみたい街」としてのブランドは、四国の中ではトップクラスです。

実際、自分が名古屋から松山を訪れたときも、

  • 航空会社の観光パンフレット。
  • 大手旅行サイトの四国特集。

いずれでも、「道後+松山城」は必ずと言っていいほど“定番ルート”として紹介されていました。

実体験①:到着から3時間で「主要スポットを制覇した気分」になってしまう

初めて松山に行ったとき、夕方の便で着いてそのまま道後にチェックインしました。

荷物を置いて、

  • 道後温泉本館周辺をひと回り。
  • 商店街でじゃこ天とみかんジュース。
  • 足湯に浸かって、ライトアップを眺める。

ここまでで、滞在開始からまだ3時間くらい。にもかかわらず、「あ、松山来たな」と妙な“達成感”がありました。

翌日は朝から松山城とロープウェイ・大街道周辺を散策し、午後には「もう一泊してもいいし、帰ってもいい」と感じてしまった自分がいました。

この感覚こそが、通過型観光のポイントです。「主要スポットがコンパクトにまとまり過ぎている」がゆえに、“もう1泊する理由”が自然には立ち上がりにくいのです。

宿泊消費の課題:夜と2日目の「過ごし方」が弱い

よくあるのが、

  • 1日目:道後で温泉+食事。
  • 2日目:松山城+商店街。

で終わってしまうパターンです。

夜の時間の使い方も、

  • 宿の食事で完結。
  • 少し飲んで終わり。

になりがちで、

  • ナイトツアー。
  • 文化体験。
  • 音楽・演劇・アートイベント。

といった「夜の過ごし方の多様性」がまだ十分に可視化されていません。

正直なところ、「夜と2日目の提案」が弱いと、一人当たりの宿泊消費は伸びません。

現在の取り組み:イベント・ナイトタイム・周遊の強化

ここ数年、松山市や観光事業者は、

  • 道後オンセナートのようなアートイベント。
  • 松山城のライトアップや夜間開城。
  • 路面電車やロープウェイを活用した夜の周遊企画。

など、「ただ泊まるだけ」ではない楽しみ方を増やそうとしています。

現場の声として、

「正直なところ、イベントがある日は明らかに宿泊単価も飲食の売上も上がるんです。でも、“イベントありき”にし過ぎると、平常時のギャップが大きくて」

と話す旅館の方もいました。

つまり、「イベントでピークをつくる」フェーズから、「平常時のラインそのものを底上げする」フェーズにまだ移り切れていない。これが今の松山の観光戦略の立ち位置です。

通過型観光から脱却するために必要な視点

視点1:観光地ではなく「48時間の物語」を売る

よくあるのが、

  • 「道後温泉に行こう」
  • 「松山城を見よう」

と“場所”で旅行を決める思考です。

ここから一歩進むには、「48時間の過ごし方」をパッケージで提示する必要があります。

例えば、

  • 1日目午後:松山城〜ロープウェイ〜大街道で地元カフェ・本屋を巡る。
  • 夕方〜夜:道後で温泉+地元食材のコース+バーで一杯。
  • 2日目午前:路面電車で少し離れた住宅街のパン屋・ロースターへ。
  • 2日目午後:アート系スポットや文学散歩+地元の人との小さなワークショップ。

こうした「時間の流れ」が描かれていれば、旅の目的は「松山城」ではなく「松山でこんな48時間を過ごす」に変わります。

正直なところ、これをやり切れている地方都市はまだ少ないです。だからこそ、松山がここに本気で取り組めば、差別化の余地は大きいのです。

現場事例①:宿側が“48時間の編集者”になったとき、客単価が変わった

ある小規模宿のオーナーが、「実は、うちは観光資源を売るのをやめたんです」と話してくれたことがあります。

「松山城や道後温泉の話をしても、みんなガイドブックで知っている。だから、チェックインのときに、“明日、どんな1日にしたいですか?”って聞くようにしたんです」

  • 「人混みを避けてのんびりしたい」人には、朝の路面電車と静かな神社・カフェを組み合わせたルート。
  • 「子ども中心で動きたい」家族には、遊具のある公園や動物と触れ合えるスポットを軸にした1日。

その結果、

  • 宿での連泊が増えた。
  • 宿おすすめの飲食店や体験にも行ってくれるようになり、街全体の滞在時間も伸びた。

「正直、観光案内所に丸投げしていた頃とは、お客さんとの会話の深さがまったく違う」と笑っていました。

視点2:日帰り客と宿泊客で「設計図」を分ける

よくあるのが、「とりあえず来た人が、気に入ったら泊まってくれる」ことを期待する戦略です。

しかし、

  • 日帰り客:時間は限られるが、「次は泊まりたい」と思わせるきっかけ作りが目的。
  • 宿泊客:時間の余裕がある分、「どれだけ深く松山に浸かってもらうか」が勝負。

と考えれば、提供すべき体験の設計図は変わります。

日帰り向けには、

  • 「次はこれをしたい」と思わせるティーザー的な体験(短時間のワークショップ、地元の人との会話など)。
  • 宿泊客向けの限定コンテンツのチラ見せ。

宿泊客向けには、

  • 宿泊者限定のナイトウォークや朝活プログラム。
  • 宿を拠点とした「住宅街の中のローカル体験」。

といった、“時間を持っている人にしか届かない”価値を用意します。

正直なところ、「誰にでも同じメニュー」を出しているうちは、単価は上がりません。

視点3:観光×地元の暮らしの交差点を増やす

観光収益を伸ばしたいとき、ついやりがちなのが「観光客だけをターゲットにしたコンテンツづくり」です。

でも、長期的に強いのは、「地元の人の日常」と「観光客の非日常」が自然に交わる場所です。

例えば、

  • 日常営業している飲食店やカフェが、週末だけ観光客向けのミニイベントをする。
  • 地元の銭湯・公園・図書館で、観光客も参加できる小さなワークショップを開く。
  • 朝市・マルシェ・大学の公開講座などを、"旅人もwelcome"な仕様にする。

実は、観光客の方が「地元の暮らしに混ざりたい」と思っているケースは多いです。

正直なところ、「観光施設の中だけで完結する旅」は、もうどこでもできる時代です。松山が持続的に選ばれるには、「生活圏そのものが体験の場」になっている必要があります。

よくある失敗と、そこからの抜け方

よくある失敗①:スポット単位で訴求して、“行って終わり”にしてしまう

  • 道後温泉の写真。
  • 松山城の天守からの眺め。
  • ご当地グルメの定番カット。

これらをSNSやパンフレットに並べるだけでは、「ああ、よくある地方観光地だな」で終わります。

正直なところ、「行ってみたい」までは届いても、「また行きたい」「今度は2泊したい」にまでは届きにくいです。

抜け方は、「人」と「時間」を入れることです。

  • 道後の朝6時に、常連さんと並んで入る温泉。
  • 松山城ふもとのベンチで、地元の高校生がコンビニおにぎりを食べている風景。

こうした“生活の断片”が見えると、旅の記憶の残り方は変わります。

実体験②:地元高校生の一言で「この街が少し好きになった」

松山城から降りてくるロープウェイ乗り場で、制服姿の高校生が友だちと話しているのが聞こえました。

「実はさ、観光客多い日はちょっと面倒だけど、城がある街ってちょっと誇らしいんよね」

その一言を聞いた瞬間、「この街で育った人にとっての観光資源」の意味が、急に立体的に見えました。

パンフレットには載らない、こういう“心の声”こそが、通過型観光からの脱却に必要なピースです。

よくある失敗②:イベント頼みで「平常時」が貧弱になる

  • 大型アートイベント。
  • 花火・祭り・マラソンなどのビッグイベント。

これらは集客とPRには強い武器ですが、

  • 開催期間外とのギャップ。
  • 地元事業者の負荷と依存。

という副作用があります。

正直なところ、「イベントのある街」ではなく、「何もない週末でもそこそこ楽しい街」の方が、宿泊消費は安定します。

抜け方は、「イベントで試したコンテンツを平常ラインに落とし込む」ことです。

  • イベント時に好評だったナイトツアーを、規模を小さくして通年化する。
  • 期間限定メニューを、地元客向けにアレンジして残す。

こうした“残し方”が上手いほど、企画が投資で終わらず、資産になっていきます。

よくある失敗③:「観光=インバウンド」と短絡し、地元ニーズを置き去りにする

コロナ後、どの自治体もインバウンドを重視していますが、

  • 表示の多言語化。
  • キャッシュレス対応。
  • フォトスポットの量産。

だけに偏ると、地元の人や国内客には「薄い観光地」になりがちです。

正直なところ、「インバウンド客が喜ぶもの」は、「国内の他地域から来る人」や「地元の人」にとっても魅力的であるべきです。

  • 地元の高校生や大学生が「友だちに自慢したくなる場所」。
  • 地元の親子が週末に遊びに行きたくなるイベント。

として成立しているかどうかを、必ずチェックポイントに入れておくべきです。

よくある質問

Q1. 松山市の観光戦略は、他の地方都市と比べて成功している方ですか?

A1. 集客や認知度という意味では上位グループですが、「宿泊日数・消費額・リピーター率」で見ると、まだ伸びしろが大きい“途上の成功”という評価が現実的です。

Q2. 通過型観光から脱却する一番のポイントは何ですか?

A2. 数字で言えば「1人当たりの滞在時間と宿泊数」、感覚で言えば「もう1泊したくなる理由」をつくることです。スポットではなく時間の過ごし方をデザインする視点が欠かせません。

Q3. 宿泊単価を上げるには、どんな施策が効果的ですか?

A3. 客室や食事のグレードアップだけでなく、「宿泊者限定の体験」をセットにするのが効きます。ナイトツアー・朝活・地元との交流など、時間価値を高める施策ほど単価に反映されやすいです。

Q4. 個人の飲食店や小規模事業者でも、観光収益アップに乗れますか?

A4. 十分可能です。「観光客が来るエリアに店を出す」より、「時間帯や曜日を絞った観光者向けメニューや体験」を組み合わせた方が、無理なく収益アップにつながります。

Q5. インバウンド対策と国内客向け施策、どちらを優先すべきですか?

A5. ケースによりますが、まずは国内客と地元客の満足度を高めるのが土台です。そのうえで、表示・決済・言語サポートなど、インバウンド向けの「障壁を下げる」対応を足していくのが現実的です。

Q6. 2泊3日を前提にした商品設計は、ハードルが高くないですか?

A6. 最初から完全パッケージを作る必要はありません。「1泊2日+オプションでもう半日」という形でも良いので、“滞在延長のきっかけ”を明確に用意することが重要です。

Q7. 今から観光に関わる人が、一番最初にやるべきことは何ですか?

A7. 一番効くのは、「自分が提供できる価値を、ゲストの時間軸で書き出してみる」ことです。1時間・半日・1日単位で何ができるかを整理すると、誰とどう組めば“48時間の体験”になるかが見えてきます。

まとめ

松山市の観光戦略は、「来てもらう」ことには成功しつつあり、「どれだけ長く・深く過ごしてもらうか」という次のステージに進むべきタイミングにきています。

通過型観光から脱却するには、道後温泉や松山城といった“点”の価値を磨くだけでなく、「48時間の物語」「日帰りと宿泊の二本立て」「地元の暮らしとの交差点」を意識した体験設計が不可欠です。

中野たいせいの想い

中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。

「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。

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