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松山市の交通支援は足りている?高齢社会で重要になる移動対策

松山市で移動に困らない街をつくるには?交通支援制度の課題を解説

【この記事のポイント】

  • 松山市は、バス空白地帯にデマンド型代替交通(予約制乗合タクシー)を導入し、福祉有償運送や移動支援事業所も整備しているなど、「最低限の足」は確保しています。
  • 一方で、伊予鉄道・バスの運賃値上げとシルバーパス未導入により、「運転をやめた高齢者が気軽に外出できる環境」は十分とは言えず、議会でも問題提起が続いています。
  • 正直なところ、“制度の有無”より、「本人が迷わず使えるか」「免許返納後でも日常の外出が続けられるか」が勝負であり、現状の松山はそこがまだ弱いです。

今日のおさらい:要点3つ

  • 顕在ニーズ:松山市の交通支援がどこまで整っているか、具体的に知りたいということです。
  • 潜在ニーズ:親や自分が運転をやめたとき、「買い物・通院・趣味の外出」が途切れてしまうのではという不安があるということです。
  • 行動ニーズ:今の住まい・免許返納のタイミング・引っ越しや車の買い替えを考えるうえで、「松山で移動に困らない暮らし方」を決めたいということです。

この記事の結論

一言で言うと、「松山市の交通支援は“最低限守る”レベルには達していますが、『高齢になっても気軽に動ける街』という意味ではまだ足りない」ということです。

最も重要なのは、「バス路線があるかどうか」だけで判断せず、「免許返納後に、自宅から公共交通・デマンド交通・福祉有償運送・歩ける範囲の組み合わせで生活が回るか」を基準にエリアと暮らし方を選ぶことです。

失敗しないためには、「元気なうちは車前提でOK」と思い込まず、今のうちから「代わりの足」を試して慣れておき、いざ運転をやめるときに“ゼロから”にならないよう準備しておくことが欠かせません。

松山市の交通支援、“今あるもの”を整理する

バス空白地帯への対応:デマンド型代替交通の導入

松山市では、路線バスが走っていない地域への対応として、デマンド型代替交通(予約制乗合タクシー)を導入しています。

市議会での質疑では、

  • バス路線やコミュニティバス廃止後の代替交通として導入されている事例が全国で多い。
  • 松山市でも、バス撤退地域への足としてデマンド交通を整備している。

と説明されています。

デマンド交通のメリット

  • 自宅近くまで迎えに来てもらえる(エリア内での乗り降りが柔軟)。
  • 人数が少ない時間帯でも、一定の効率で運行しやすい。

デメリット

  • 事前予約が必要で、「ふと思い立って」の外出にはやや不向き。
  • スマホや電話予約に慣れていない高齢者はハードルを感じやすい。

正直なところ、「バスがなくなる=完全に足がなくなる」状態は避けているものの、「自分から能動的に予約して段取りする力」が求められる制度です。

実体験①:予約型タクシーを前に、スマホ画面で指が止まる

別の地域でですが、デマンド型乗合タクシーのアプリを高齢の親にインストールしたときのことを思い出します。

「ここをタップして、時間を選んでね」と説明しても、親の指は画面の上でふっと止まる。

「もし間違えたらどうしよう」 「運転手さんに迷惑にならない?」

そんな言葉が、ため息まじりにこぼれました。

制度としては便利。でも、「心のハードル」と「操作の不安」を越えないと、使いこなせない。松山のデマンド交通も、同じ壁にぶつかりやすい構造です。

福祉有償運送:要介護者や障がい者の“通院・外出の足”

松山市では、道路運送法に基づく福祉有償運送を実施しており、

  • 対象:要介護者・身体障がい者等、公共交通機関の利用が困難な移動制約者。
  • 内容:通院・通所・レジャー等の目的で、有償で車両による送迎を行うサービス。

と定義されています。

福祉有償運送を行うには、

  • 国土交通大臣の登録。
  • 福祉有償運送運営協議会での必要性の承認。

が必要であり、松山市では現在、NPO法人自立生活センター松山が登録を受けています。

メリット

  • 介護認定を受けている人など、通常のタクシー利用が難しい人でも、継続的な通院や外出がしやすい。

デメリット

  • 事業者が1つだけで、カバーできる件数やエリアに限界がある。
  • そもそも制度と事業者の存在を知らない人も多い。

「制度はあるけれど、届いていない」という典型的な例です。

障がい者・高齢者向けの移動支援:ヘルパー付きの外出サポート

松山市の移動支援事業所一覧(R8.4.1時点)を見ると、

  • ヘルパーステーションせと。
  • 東松山訪問介護事業所。

など、複数の事業所が「移動支援」「同行援護」「行動援護」などを提供しています。

また、社会福祉法人福角会のホームヘルプ事業所では、

  • 対象:身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者・難病患者・要介護認定を受けた高齢者。
  • 内容:生活全般の援助に加え、移動支援として、社会生活上必要な外出や、余暇活動など社会参加のための外出への付き添い・介助を提供。

とされています。

これは「車そのもの」ではなく、「人による伴走」を含めた移動支援です。

正直なところ、「歩けるけれど一人は不安」「認知症で道順に自信がない」といった人にとっては、交通機関そのものより、この“人の支え”の方が重要だったりします。

それでも「足りない」と言われる3つの理由

理由1:シルバーパス未導入と、運賃値上げによる“心理的なブレーキ”

議会や市民の声で繰り返し出ているのが、「シルバーパスの不在」です。

  • 東京都など全国の主要都市では、一定額を支払えば、高齢者が指定の交通機関を自由に乗り降りできるシルバーパスや敬老パスを導入。
  • 東京都のシルバーパス利用者は100万人以上、満足度は95.8%(2018年調査)と報告されている。
  • 松山市では、伊予鉄バスの「シルバー定期」がかつて65歳以上→70歳以上→75歳以上と対象が後ろ倒しされ、料金も上がってきました。現在は75歳以上・1か月10,080円のみ。

市民側からは、

  • 電車・バスの値上げとシルバーパス未導入により、高齢者の社会参加が損なわれている。
  • 松山市は、シルバーパスの導入で高齢者の移動を促すべきだ。

という指摘が出ています。

正直なところ、「歩ける」「健康だ」という高齢者ほど、「運賃を払ってまで乗るほどではないかな」と外出を控えがちになります。

「お金を気にせず乗れる」という感覚は、想像以上に行動量を増やす。松山がまだそこまで踏み切れていないのは、交通弱者支援として大きなハンデです。

実体験②:バス代を計算して、外出をあきらめる瞬間

ある高齢の知人が、「久しぶりに街まで行こうと思ったけど、行き帰りのバス代を計算したら、なんとなくやめちゃった」と笑って話してくれたことがあります。

「正直なところ、体力的には大丈夫。でも、片道数百円、往復で千円近くかかると思うと、“まあ、また今度でいいか”って」

その“また今度”が積み重なった先に、外出機会の減少・筋力低下・フレイルが待っている——頭では分かっていても、その場の財布感覚には勝てない。

シルバーパスがある都市とない都市の差は、この「最後の一押し」の有無です。

理由2:制度が「点」でしか届かず、“線”になっていない

デマンド交通・福祉有償運送・移動支援・介護タクシー・シルバー定期——松山市の移動支援は、メニューとしては多様です。

よくあるのが、

  • 自分の親がどの制度の対象になるのか分からない。
  • どこに電話して、何から申し込めばいいかイメージできない。
  • 制度と実際の生活(買い物・通院・趣味)の具体的な接続が想像しづらい。

という声です。

例えば、

  • 要介護認定を受けているのに、福祉有償運送や移動支援を一度も利用したことがない。
  • デマンド交通が通っているエリアなのに、存在を知らないまま数年が経つ。

といったケースは珍しくありません。

正直なところ、「制度がある=支援が届いている」ではありません。

「あなたの家から病院までなら、○○と□□を組み合わせると一番ラクですよ」と“線”で教えてくれる人と場所が、まだ決定的に足りていません。

理由3:免許返納後の生活イメージが持てないまま年を重ねる

議会の質問や周辺自治体の資料でも、「免許自主返納支援事業」や「タクシー利用助成」などが高齢者支援策として取り上げられています。

砥部町の例では、

  • 運転免許自主返納支援事業。
  • のりあいタクシー。
  • 高齢者・障がい者向けタクシー利用助成。

などを組み合わせ、「免許を返しても移動できる」環境づくりを進めています。

松山圏域も、「高齢者などの交通弱者が安全で安心して移動できる交通環境整備に努める」としていますが、実際の生活感としては、

  • 「免許を返したら、もうどこにも行けない気がする」
  • 「実は、運転が不安になってきたけど、返す決心がつかない」

という人が少なくありません。

正直なところ、「免許返納」は紙の手続きではなく、生活スタイルの再設計です。そこを一緒に描いてくれる伴走者がいないと、怖くて踏み出せないのは自然なことです。

松山市で“移動に困らない暮らし”をつくるための視点

視点1:「車のある今」と「車のない未来」を、同じ地図で描いてみる

まずやってみてほしいのは、

  • 今の生活:車あり前提での買い物・通院・趣味の外出。
  • 未来の生活:免許返納後に想定される移動パターン。

を、同じ地図上に描いてみることです。

  • 自宅から徒歩15〜20分圏内にあるもの(スーパー・病院・バス停・公園)。
  • デマンド交通のエリアや乗降ポイント。
  • 移動支援や福祉有償運送で行けそうな場所。

これを一度紙に書き出すだけで、「この家・このエリアで、どこまでなら車なしで暮らせるか」が見えてきます。

正直なところ、この作業をせずに「何とかなるだろう」で先送りしていると、突然の病気や事故で、いきなり“詰み”に近い状況に追い込まれかねません。

視点2:シルバー定期・デマンド交通・移動支援を“今のうちに”試す

ケースによりますが、「今まだ若いから」「親が元気だから」と言って、一度も使わないまま年を重ねるのはもったいないです。

  • 伊予鉄のシルバー定期:75歳以上・1か月10,080円と決して安くはありませんが、1日あたり約336円で、市内のバス・電車に乗り放題という見方もできます。
  • デマンド交通:ルールや予約方法を一度体験しておけば、いざというときの心理的ハードルが下がります。
  • 移動支援・福祉有償運送:介護認定や障がいのある家族がいるなら、どの事業所が対応してくれるかを今のうちに聞いておく。

「最初は半信半疑だった」「また面倒な制度なんじゃないかと思った」という声もありますが、一度乗ってみると、「ああ、意外と便利だな」と感じる人も多いです。

実は、そういう小さな“成功体験”の積み重ねが、「運転をやめても何とかなる」という自信につながります。

視点3:民間サービス・ボランティア・新しい移動手段も組み合わせる

松山市では、福祉や行政だけでなく、民間や地域の取り組みも少しずつ出てきています。

例えば、

  • 村田葬儀社がシェアサイクルポートを導入し、高齢者の短距離移動や地域の回遊性向上を狙う取り組み。
  • 松山観光コンベンション協会が、高齢者・障がい者・観光客向けにバリアフリー情報を発信し、安心して外出できる環境づくりを進めている。
  • 社会福祉協議会が、高齢者・障がい者等への移動支援のイロハ講座を開き、ボランティアや支援者を増やそうとしている。

正直なところ、「公的制度だけ」で移動の不安を解消するのは限界があります。

  • 近所の人との「乗り合わせ」。
  • 趣味仲間との「送り迎えの助け合い」。
  • シェアサイクルや電動アシスト自転車の活用。

こうした“ゆるい支え合い”も含めて、「松山市でどうやって動くか」を考えておくと、選択肢が一気に増えます。

よくある質問

Q1. 松山市の交通支援は、他都市と比べてどうですか?

A1. デマンド交通・福祉有償運送・移動支援など最低限のメニューは揃っており、“やっていない”自治体よりは前向きです。ただし、シルバーパス未導入など、「高齢者の外出を一気に後押しする仕組み」は弱めです。

Q2. 車を手放したら、本当に松山で生活できますか?

A2. 中心部や主要バス・電車沿線なら、工夫次第で十分現実的です。一方、郊外や坂の多いエリアでは、デマンド交通や移動支援を組み合わせても、日常の選択肢はかなり狭まります。

Q3. 親の免許返納を説得したいのですが、何から考えるべきですか?

A3. まず「返した後の足」を一緒に試すことです。デマンド交通やバス・タクシー・移動支援のルートを実際に使ってみると、「これなら何とかなる」という感覚が生まれ、話が進みやすくなります。

Q4. シルバーパスがないと、高齢者の外出は厳しいでしょうか?

A4. 厳しい“場合が多い”というのが正直なところです。東京都の調査では、シルバーパス利用者の満足度は95.8%と高く、外出頻度の増加が報告されています。松山でも、料金負担が高齢者の外出のブレーキになっているとの指摘があります。

Q5. 障がいのある家族の外出を増やしたいのですが、どんな支援がありますか?

A5. 松山市内には複数の移動支援事業所があり、ガイドヘルパーや同行援護従事者が外出に付き添ってくれます。社会生活上必要な外出や余暇活動への同行も対象です。

Q6. 今から個人としてできる、一番現実的な備えは何ですか?

A6. 一番効くのは、「今の生活で車を使っている用事」を全て書き出し、そのうち1〜2個を“あえて車以外でやってみる”ことです。その経験が、免許返納後のリアルなイメージ作りに直結します。

まとめ

松山市の交通支援は、デマンド型代替交通・福祉有償運送・移動支援などを通じて、「バスがなくても完全な孤立にはしない」最低限のセーフティネットを整えています。

しかし、伊予鉄の運賃値上げとシルバーパス未導入などにより、高齢者が「気軽に」「自発的に」外出を増やせる環境にはまだ届いておらず、情報不足や制度の複雑さもあって、“制度はあるのに使われない”ギャップが残っています。

中野たいせいの想い

中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。

「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。

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