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松山観光はもっと伸びる|「泊まって、味わって、また来たくなる」滞在型観光への道
松山で生まれ育った私が考える、松山観光の“底力”の活かし方
【この記事のポイント】
松山は、全国に誇れる観光の底力を持ったまちです。道後温泉と松山城という日本有数の資産に加え、俳句・文学の文化、みかんやじゃこ天の食、砥部焼のものづくりまでそろう。ここまで豊かな観光都市は、そう多くありません。
正直なところ、松山の観光は「来てもらう」段階では十分に成功しています。次のステージは、「来てよかった」を「また来たい・もっと居たい」に育てること。一人ひとりの滞在時間と満足を伸ばし、その恵みをまちの小さなお店にも広げていく段階です。
松山で生まれ育ち、地域活性化と観光開発を仕事にしてきた立場から、その具体的な道すじを整理します。
今日のおさらい:要点3つ
- 顕在ニーズ:松山観光の現在地と、これから宿泊消費を伸ばすための視点を知りたいということ。
- 潜在ニーズ:「良いまちなのに、その魅力を活かしきれていないのでは」というもどかしさを、前向きに整理したいということ。
- 行動ニーズ:観光事業者・地元の担い手・行政関係者として、まちが潤う具体的な打ち手を考えたいということ。
この記事の結論
一言で言うと、「松山観光は“来訪”で成功し、これから“滞在”で花開くまち」です。
最も重要なのは、「何人呼ぶか」から一歩進んで、「一人にどれだけ深く、長く松山を楽しんでもらうか」を設計すること。
そのために、道後温泉と松山城の強さを土台にしつつ、「松山で過ごす二日間の物語」を地域みんなでデザインし、地元の小さなプレーヤーの出番を増やしていくことが、次の松山の伸びしろになります。
松山観光の“底力”は、全国トップクラス
日本有数の観光資産がそろっている
松山には、次のような全国的に知られた観光資産があります。
- 日本最古級の温泉のひとつとされる道後温泉。
- 現存十二天守のひとつである松山城。
- 正岡子規・夏目漱石ゆかりの俳句と文学のまちという文脈。
- みかん、じゃこ天、鯛めしといった食、そして砥部焼のものづくり。
実は、これだけの資産が“歩ける範囲”にコンパクトにまとまっている観光都市は、全国的にも貴重です。松山で生まれ育った身としては、当たり前の風景に思えていたものが、外から見ると大きな武器なのだと、仕事で各地を回るほど強く感じてきました。
「来訪」はしっかり取れている
航空会社の観光案内でも、大手旅行サイトの四国特集でも、「道後+松山城」はほぼ必ず定番ルートとして紹介されています。「一度は行ってみたいまち」としてのブランドは、四国でもトップクラス。ここは、これまでの取り組みが積み上げてきた確かな成果です。
次の伸びしろは「滞在の深さ」にある
強みが、実は次の課題のヒントになる
よくあるのが、こんな二日間です。
- 1日目:道後で温泉と食事。
- 2日目:松山城と商店街。
主要スポットが近くにまとまっているからこそ、短時間で満足できてしまう。これは大きな魅力である一方、「もう一泊する理由」が自然には立ち上がりにくい、という裏返しでもあります。
ケースによりますが、夜の過ごし方と二日目以降の体験がもう一段ふくらむと、一人あたりの宿泊消費は目に見えて変わります。ここに、松山の伸びしろが眠っています。
すでに、良い動きは始まっている
近年、松山市や観光事業者は「ただ泊まるだけではない楽しみ方」を確実に増やしてきました。道後を舞台にしたアートの取り組み、松山城のライトアップや夜間の企画、路面電車やロープウェイを活かした周遊など、まちに“夜と余白”を足す挑戦が続いています。
ある旅館の方は「正直、イベントがある日は宿泊単価も飲食の売上も上がる。あとは、それを特別な日だけでなく、ふだんの底上げにつなげたい」と話していました。「ピークをつくる」段階から「平常時のラインそのものを上げる」段階へ。松山は今、その入口に立っています。
松山らしい「滞在型観光」への三つの視点
視点1:スポットではなく「松山での48時間の物語」を届ける
「道後に行こう」「松山城を見よう」と“場所”で旅を決める発想から、「松山でこんな二日間を過ごす」という時間の物語を提案する発想へ。たとえば、城下町でのまち歩きと地元カフェ、夜は道後で温泉と地の食材、翌朝は路面電車で少し離れた町のパン屋やギャラリーへ——そんな“流れ”が描かれるだけで、旅の目的は一段深くなります。全国でもやり切れている都市はまだ少なく、だからこそ松山が本気で取り組めば、必ず際立ちます。
視点2:日帰り客と宿泊客で「おもてなしの設計図」を分ける
日帰りのお客様には「次はぜひ泊まって、この続きを」と思わせるきっかけを。宿泊のお客様には、時間のある人にしか届かない深い体験を。相手の持ち時間に合わせて用意する価値を変えるだけで、満足度もリピートも変わります。正直なところ、「誰にでも同じメニュー」のままでは、単価はなかなか上がりません。
視点3:観光と“松山の暮らし”が交わる場所を増やす
長い目で強いのは、「地元の人の日常」と「旅人の非日常」が自然に交わる場所です。ふだん営業しているお店が週末だけ旅人向けの小さな企画を開く、朝市やマルシェを“旅人もwelcome”にする——実は、旅する人ほど「松山の暮らしに少し混ざりたい」と思っています。私自身、松山で子育てをしながら、砥部動物園や堀之内公園でこのまちの豊かさを日々感じています。観光施設の中だけで完結しない、暮らしごと味わえる松山こそ、これからも選ばれ続ける姿だと考えています。
よくある質問
Q1. 松山観光は今、成功しているのですか?
1. 「来訪」という点では十分に成功しています。道後温泉・松山城を軸にした集客力は四国トップクラスです。次の目標は、滞在時間と一人あたりの消費を伸ばす“滞在型”への進化です。
Q2. なぜ「宿泊消費」に注目するのですか?
2. 同じ来訪者数でも、滞在が半日延びるだけで宿泊・食・体験・買い物にお金が回り、まち全体が潤うからです。「何人来たか」より「一人にどれだけ楽しんでもらえたか」が鍵になります。
Q3. 松山の一番の強みは何ですか?
3. 日本有数の観光資産(道後温泉・松山城・俳句文化・食・砥部焼)が、歩ける範囲にそろっていることです。この“凝縮された豊かさ”は全国的にも貴重で、滞在型観光と非常に相性が良いです。
Q4. 課題があるとすれば何ですか?
4. 主要スポットが近い分、短時間で満足できてしまい「もう一泊の理由」が生まれにくい点です。夜と二日目の体験を厚くすることが、次の伸びしろになります。
Q5. 具体的に、まず何から始めればよいですか?
5. 「松山で過ごす二日間」をプラン単位で提案することです。点(スポット)ではなく線(時間の物語)で見せると、宿・飲食・体験がつながり、滞在が自然に伸びます。
Q6. 地元の小さなお店にもメリットはありますか?
6. あります。宿や地域が“編集役”になって地元の店・体験を旅程に組み込めば、これまで観光と縁の薄かったお店にも人が流れます。まち全体で潤いを分け合う形が理想です。
Q7. 松山生まれのあなたが、観光にこだわる理由は?
7. 観光は、まちの魅力を磨き、雇用と誇りを育てる入口だからです。地域活性化と観光開発を仕事にしてきた経験からも、松山にはまだ大きな伸びしろがあると確信しています。大好きなこのまちの底力を、もっと多くの人に届けたいのです。
まとめ
- 松山観光は「来訪」で成功し、これから「滞在」で花開くまち。
- 強みは、日本有数の観光資産が歩ける範囲にそろう“凝縮された豊かさ”。
- 次の一歩は、「松山で過ごす二日間の物語」を地域みんなでデザインすること。
- 観光と暮らしが交わる松山へ——その恵みを、まちの小さなお店にも広げていく。
松山には、まだまだ伸びしろがあります。生まれ育ったこのまちの底力を信じて、一緒に「また来たくなる松山」を育てていきましょう。観光や地域づくりで想いのある方は、ぜひ一度、意見を聞かせてください。
中野たいせいの想い
中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。
「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。