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松山市の移住支援は効果がある?定住につながる政策設計の課題を解説
松山市で移住者を増やすには何が必要?支援制度と定住率の関係を分かりやすく解説
松山市の移住支援は県内でも手厚い方ですが、定住率の追跡データがないため効果測定が難しい状況です。制度は充実しているものの、移住後3年以内に再び県外へ出る世帯も少なくありません。定住につなげるには、金銭支援だけでなく「移住後の孤立を防ぐ仕組み」と「生活基盤を支える継続サポート」が不可欠です。
この記事のポイント
- 松山市は最大100万円の住宅取得支援を実施していますが、定住率の公式データは存在しません
- 移住者の46.8%が「効果測定が難しい」と回答しており、自治体側も成果を把握しきれていません
- 金銭的な支援よりも、移住後の人間関係構築や就労支援が定着率を左右します
今日のおさらい:要点3つ
- 松山市の移住支援は最大100万円と充実していますが、定住率の追跡データがなく、施策の効果検証ができない状況です
- 移住者の定着には金銭支援だけでなく、移住後の人間関係構築や就労支援といった継続的なフォロー体制が欠かせません
- 効果測定の仕組みを整え、データに基づくPDCAサイクルを回すことが、これからの移住政策の重要な課題です
この記事の結論
- 松山市の移住支援制度は充実していますが、定住率を追跡する体制が整っていません
- 移住者の約4割が東京圏・大阪圏からの流入ですが、3年以内の再転出リスクが課題です
- 金銭的支援だけでは不十分で、移住後のコミュニティ形成支援が定住のカギを握ります
- 効果測定が困難なため、制度改善のPDCAサイクルが回りにくい状況です
松山市の移住支援制度は本当に効果があるのか
制度の充実度と実際の利用状況にズレがある
松山市は2024年から「まつやま移住者定着支援事業」を開始し、県外から移住した子育て世帯に最大100万円の住宅取得費用を補助しています。基本額60万円に加え、15歳未満の子ども2人目以降は1人につき20万円が加算される仕組みです。2026年版の「住みたい田舎ベストランキング」では若者世代部門で7位にランクインし、制度面では他の中核市と比較しても遜色ない水準にあります。
ところが、実際に移住した知人に話を聞くと「支援金の申請手続きが複雑で、移住後3カ月以内に書類を揃えるのが大変だった」という声がありました。制度はあっても、利用までのハードルが高いケースは少なくありません。愛媛県全体の移住者数は令和6年度で6,910人でしたが、前年度比で344人減少しています。松山市単独のデータは公表されていませんが、県全体で減少傾向にあることを考えると、制度の認知度や使い勝手に課題がある可能性が高いと言えます。
また、申請書類の煩雑さは移住希望者にとって心理的なハードルになります。引っ越しの準備や新生活への適応で忙しい時期に、複雑な手続きを並行して進めるのは負担が大きいものです。書類の簡素化やオンライン申請の導入など、利用しやすさを高める工夫が求められています。
定住率を測る仕組みがないという根本的な問題
正直なところ、松山市には移住者の定住率を追跡する公式な調査がありません。これは松山市に限らず、全国の自治体共通の課題です。自治体DX推進協議会の調査によると、343自治体のうち46.8%が「効果測定が難しい」と回答しています。移住者数はカウントできても、その後どれだけ地域に残っているかを把握する体制が整っていないのが実情です。
ある市役所職員は「移住してきた世帯がいつまで住んでいるかを追跡するには、住民票の異動データを継続的に分析する必要があるが、人手が足りない」と漏らしていました。支援金を出した世帯が3年後、5年後にどうなっているかを調べる仕組みがなければ、施策の改善点も見えてきません。
定住率のデータがないということは、税金を投入した施策の効果を検証できないということでもあります。住民が納得できる形で施策の成果を示すためにも、定住率の追跡は欠かせない取り組みだと言えるでしょう。
金銭支援だけでは移住者は定着しない
移住支援金があれば来てくれる、というのは甘い見立てです。内閣府の調査では、移住に際して転職をしていない人が53.4%に上ります。つまり、リモートワークや複業によって、仕事を変えずに移住するケースが増えているのです。こうした層にとって重要なのは、金銭的な支援よりも「移住後の暮らしやすさ」です。
実は、移住後に最も困るのは人間関係の構築だという声が多く聞かれます。地域コミュニティに馴染めず、孤立してしまうと、どれだけ支援金をもらっても長続きしません。松山市の島しょ部では、移住者向けのお試し移住施設「神浦定住促進」があり、月額2万円から利用できます。ただ、施設があっても、地域住民との交流機会が設計されていなければ、結局「仮住まいのまま終わる」リスクがあります。
定住につながる政策設計に必要な3つの視点
移住後の「つながり」を生む仕組みづくり
移住者が地域に定着するかどうかは、最初の1年で決まると言われています。引っ越してきたばかりの時期に、誰とどうつながるかが、その後の生活満足度を左右します。松山市では「移住アドバイザー」制度を設けていますが、登録者数や実際の活動内容は明らかにされていません。
よくあるのが、移住前の相談は手厚いのに、移住後は「あとは自分でどうぞ」となるパターンです。ある移住者は「引っ越し後、誰に何を聞けばいいかわからず、結局ネットで調べるしかなかった」と振り返ります。移住後3カ月、6カ月、1年といった節目でフォローアップする体制があれば、孤立を防げる可能性は高まります。
地域の自治会や子育てサークル、趣味のグループなどに自然に参加できるきっかけを作ることも大切です。移住者同士の交流会だけでなく、もともと地域に住んでいる人たちとつながる機会があってこそ、本当の意味で「地域に根付く」ことができます。
就労支援と地域経済の連動が不可欠
移住者の約4割が東京圏・大阪圏からの流入ですが、移住後の収入減を懸念する声は多いです。都市部との収入格差は現実に存在し、移住によって年収が下がるケースも少なくありません。松山市は県庁所在地であり、地方都市の中では雇用環境は比較的良好ですが、それでも東京と同水準の給与を得るのは難しいのが現実です。
ケースによりますが、リモートワークで都市部の仕事を続けながら移住する層にとっては、収入減の心配は少ないと言えます。一方で、地元企業に就職する場合は、事前に給与水準や働き方を確認しておかないと、生活が成り立たなくなります。移住支援金で初期費用は賄えても、継続的な収入がなければ定住は困難です。
地元企業とのマッチング支援や、起業を希望する移住者へのサポート体制も重要になります。移住者がもつスキルや経験を地域で活かせる仕組みがあれば、地域経済の活性化と移住者の定着が同時に進む好循環が生まれます。
効果測定とデータ活用で施策をアップデートする
移住施策の効果を測るには、移住者数だけでなく、定住率、満足度、地域貢献度などを複合的に追跡する必要があります。しかし、多くの自治体は「相談件数」や「移住者数」といった入口の数字だけを追いかけており、その後の動きを把握できていません。
松山市の場合、令和2年度以降の市外移住者数は38,714人に上りますが、このうち何人が定住し、何人が再び転出したかは明らかにされていません。データがなければ、施策の改善点も見えてきません。例えば、「支援金を受け取った世帯のうち、3年後も松山市に住んでいる割合は70%」といった指標があれば、制度の有効性を判断しやすくなります。
他の自治体との比較で見える松山市の立ち位置
愛媛県内の他市町村との競争
愛媛県全体の移住者数は減少傾向にありますが、松山市への移住者数は依然として多い状況です。令和4年度のデータでは、松山市が2,787人、今治市が1,335人と、県内では圧倒的に松山市が多くなっています。ただし、これは都市機能が整っているためであり、移住支援制度の充実度が理由とは限りません。
八幡浜市や内子町など、小規模自治体の中には、松山市よりも手厚い支援を実施しているところもあります。例えば、八幡浜市は地元業者によるリフォームに対して補助金を支給し、地域経済との連動を図っています。松山市は規模が大きい分、きめ細かな支援が行き届きにくいという弱点があります。
小規模自治体の取り組みから学べることは多くあります。移住者一人ひとりの顔が見える関係性のなかで支援を行う姿勢は、規模の大きい松山市でも参考になる視点です。
全国の優良事例から学ぶべきポイント
総務省の移住・定住施策の優良事例集では、宮城県七ヶ宿町や秋田県秋田市の取り組みが紹介されています。七ヶ宿町は定住人口と小中学校の児童生徒数を増やすため、地域担い手づくり支援住宅を整備しました。秋田市は県外からの子育て世帯に住宅購入費用を補助しています。
これらの事例に共通するのは、金銭支援と地域づくりをセットで考えている点です。松山市も支援金は出していますが、それが地域の活性化や学校の維持にどうつながっているかを測る視点が弱いと言えます。移住者を「受け入れる」だけでなく、地域の一員として巻き込む仕組みが必要です。
よくある質問
Q1. 松山市の移住支援金はいくらもらえますか?
A1. 最大100万円です。基本額60万円に、15歳未満の子ども2人目以降1人につき20万円が加算されます。
Q2. 移住支援金を受け取る条件は何ですか?
A2. 県外から移住後3年以内に住宅を取得し、5年以上定住する意思があることが条件です。
Q3. 松山市の移住者数は増えていますか?
A3. 愛媛県全体では減少傾向にありますが、松山市は県内では最も多い移住者数を維持しています。
Q4. 移住後の定住率はどのくらいですか?
A4. 公式な定住率のデータは公表されていません。全国的にも定住率を追跡している自治体は少数です。
Q5. 移住支援金以外にどんな支援がありますか?
A5. 引越し費用の補助(上限10万円)、空き家改修費の補助(上限400万円)、お試し移住施設の提供などがあります。
Q6. 移住後に孤立しないためのサポートはありますか?
A6. 移住アドバイザー制度がありますが、移住後の継続的なフォロー体制は自治体によって差があります。
Q7. リモートワークで移住する場合、どんな点に注意すべきですか?
A7. 通信環境の確認、出社頻度に応じた交通アクセスの検討、地域コミュニティとの接点づくりが重要です。
Q8. 移住後に再び転出する人はどのくらいいますか?
A8. 具体的な割合は不明ですが、移住後3年以内の再転出は全国的に課題とされています。
Q9. 松山市は他の県庁所在地と比べて移住しやすいですか?
A9. 2026年版の住みたい田舎ランキングで若者世代部門7位と評価されており、比較的高水準です。
Q10. 移住支援制度の申請手続きは複雑ですか?
A10. 移住後3カ月以内に複数の書類を揃える必要があり、手続きの煩雑さを指摘する声もあります。
まとめ
松山市の移住支援制度は金銭面では充実していますが、定住率を追跡する仕組みがないため、施策の効果を正確に測れていない状況です。移住者を増やすだけでなく、地域に根付いてもらうには、移住後の人間関係構築や就労支援、継続的なフォロー体制が不可欠です。効果測定の仕組みを整え、データに基づいて施策を改善していくことが、これからの移住政策には求められます。
中野たいせいの想い
中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。
「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。