NEWS

お知らせ
HOME > ブログ > 松山市の内水氾濫対策は十分なのか?豪雨時の浸水被害を減らすための考え方
ブログ

松山市の内水氾濫対策は十分なのか?豪雨時の浸水被害を減らすための考え方

JR松山駅の浸水から見える課題 — 多重防御で豪雨リスクを減らす松山市の水害対策

【この記事のポイント】

松山市は「まつやま内水ハザードマップ」や内水浸水想定区域図を公表し、大雨時に浸水する可能性のある地区や深さを市民に周知しています。

しかし、JR松山駅の浸水被害に象徴されるように、下水道排水能力は1時間当たり40ミリ程度を想定している箇所もあり、近年の局地的豪雨(1時間78ミリなど)には十分対応できていません。

最も大事なのは、排水能力の底上げだけでなく、雨水貯留・浸透設備の導入、都市化が進んだ低地での土地利用の見直し、住民一人ひとりの避難行動計画を組み合わせた「多重防御」の発想です。

今日の要点3つ

松山市の内水氾濫対策は、ハザードマップ整備や監視システム導入など一定水準に達していますが、下水道の排水能力は想定外豪雨の前には限界があります。

判断基準として重要なのは、「どこが浸水しやすいか」を知ることと、「水を一気に流す」のではなく「貯める・浸み込ませる・避ける」仕組みをどこまで街全体で組み込めるかです。

現実的な判断としては、行政によるインフラ整備を待つだけでなく、個人・企業が雨水貯留タンクや止水板の設置、車の移動計画など、自衛的な備えを段階的に進めることが欠かせません。

この記事の結論

松山市の内水氾濫対策は、ハザードマップや浸水想定区域図、雨水貯留施設への補助など、ソフト・ハード双方の施策が一定程度整備されていますが、「十分か」と問われればまだ道半ばです。

この点から分かるのは、下水道だけに依存して雨水を一気に流そうとする従来型の発想では、想定最大規模の豪雨や気候変動によるリスクの増大に対応しきれないということです。

松山市に求められるのは、排水ポンプや水位監視などのインフラ強化に加え、雨水貯留・浸透設備の普及、雨水利用によるピークカット、低地の土地利用規制・誘導といった「都市構造そのものの調整」です。

こうした条件を踏まえると、企業や市民も「どこが危ないのかを知り、どこまで自分で備えるか」を具体的に決めておくことが、浸水被害を現実的に減らすための重要な行動となります。

松山市の内水氾濫リスクはどこまで見える化されている?

内水ハザードマップと浸水想定区域図

結論から言うと、松山市は「どこが浸水しやすいか」をかなり細かく可視化しており、全国的に見ても情報提供の水準は高い方です。

「まつやま内水ハザードマップ」は、市街化が進み内水氾濫の可能性がある地域を対象に、大雨時の浸水深や危険箇所、避難情報などをまとめ、市内全戸に配布した実績があります。

また、水防法の改正に伴い、松山市駅前地下街(まつちかタウン)周辺を対象に、想定最大規模降雨(時間最大130ミリ)での浸水シミュレーションを実施し、内水浸水想定区域図として公表しています。

この点から分かるのは、「どこに水が溜まりやすいか」「どの地下空間が危ないか」を行政が把握し、市民と共有する段階までは進んでいるということです。

下水道整備基本構想から見た課題地区

松山市は「第4次松山市下水道整備基本構想」において、都市化の進展や局地的豪雨による浸水リスクが高まっている山西地区など9地区を挙げ、浸水対策の重点エリアとして位置づけています。

中間報告では、これらの地区で内水氾濫危険箇所や避難に関する情報を整理し、今後の整備方針や対策の優先順位を検討していることが示されています。

実務的には、古い下水道管が残る地区や、宅地化により雨水の浸透面が減少した地区、低地で周囲より標高が低い地区などが重点対象となりやすく、個別の排水区ごとに取るべき対策が異なります。

通学路冠水監視システムなどの先進的取り組み

この点から分かるのは、松山市が「見える化」にとどまらず、現場のリスクをリアルタイムで把握する仕組みにも踏み込んでいるということです。

愛媛大学と市内の小学校が共同で開発した「通学路冠水監視システム」は、川沿いの通学路に水位センサーとカメラを設置し、冠水頻発ポイントの水位を遠隔監視する仕組みです。

これは、通学路の安全確保だけでなく、内水氾濫の早期検知や、避難タイミングの判断にも役立つもので、今後他の危険箇所へ横展開すれば、災害時の人的被害を減らす有効な手段となります。

松山市の排水能力は豪雨に対して十分なのか?

JR松山駅の浸水事例が示すもの

結論から言うと、現在の松山市の下水道排水能力は「平常時〜一般的な豪雨」には対応できても、「近年増えているレベルの集中豪雨」には十分とは言えません。

2024年11月の大雨では、開業から約1カ月の新JR松山駅構内が浸水し、JR側の説明によると、新駅舎の排水設計は1時間あたり40ミリの雨量を想定していた一方、この日は時間雨量78ミリを観測し、排水能力のおよそ2倍の雨が降ったとされています。

その結果、旧駅舎周辺の排水設備からあふれた水が新駅舎側に流入し、地下部分や構内の浸水につながりました。

この事例から分かるのは、「施設単体の設計」だけでなく、「周辺地区全体の下水道排水能力」とセットで考えなければ、局地的豪雨への備えとしては不十分だということです。

内水氾濫被害の全国的な傾向

国の資料によれば、令和6年度の大雨では内水氾濫による浸水被害が30都道府県118市区町で発生し、浸水戸数は全国で約3,400戸に上りました。

松山市もこの中に含まれており、道路冠水や住宅の床上・床下浸水など、局所的な内水被害が報告されています。

実務的には、雨水が短時間に大量に降ると、河川の氾濫だけでなく、側溝やマンホールから水があふれ出す「内水氾濫」が起きやすく、特にアンダーパスや地下街、低地の住宅地が被害を受けやすいとされます。

松山市も例外ではなく、「下水道だけで守る」には限界があるという認識が、今後の対策の前提になります。

排水能力向上だけでは限界がある理由

この点から分かるのは、管渠(かんきょ:下水道管)を単純に太くするだけでは、費用対効果や工期、周辺への影響を考えると現実的でないケースが多いということです。

松山市の水資源計画や下水道基本構想でも、節水型都市づくりや雨水の有効利用を通じて、そもそも下水道に流れる水量を減らし、ピーク負荷を軽減する方向性が示されています。

つまり、排水能力の向上は必要条件ですが十分条件ではなく、「貯める」「浸み込ませる」「流れる先を分散させる」といった多面的な対策とセットにして初めて、豪雨リスクを現実的な水準まで下げられます。

豪雨時の浸水被害を減らすために、どんな考え方が必要か?

雨水貯留・浸透と雨水利用の推進

実務的には、「一気に流す」のではなく「一時的に貯めて、時間をかけて流す」仕組みを街じゅうに散りばめることが、内水氾濫対策のコアになります。

松山市では、中・大規模雨水貯留施設(有効貯留容量1,000リットル以上)の設置に対する手続きや補助制度を設け、住宅や事業所に雨水タンクや貯留施設を導入することを推進しています。

市有施設や小中学校にも雨水タンクの設置が進められており、節水だけでなく「雨水を貯めることで下水道への負荷を減らす」効果が期待されています。

この点から分かるのは、個人・企業レベルの雨水貯留が積み重なることで、豪雨ピーク時の下水道負荷を全体として下げる「分散型インフラ」の役割を果たすということです。

都市構造と土地利用の見直し

コンパクトシティ化や都市の高度利用が進む一方で、舗装面積が増え、雨水が地面に浸透しにくくなればなるほど、内水氾濫のリスクは高まります。

松山市の都市計画資料でも、低地や埋立地、旧河川跡など、地形的に水が溜まりやすいエリアと、都市開発の進行が重なっている場所が課題として指摘されています。

現実的な判断としては、「すでに建っている建物をすべて移す」ことはできませんが、新たな大規模開発や再開発の際には、雨水貯留・緑化・透水性舗装を義務づけるなど、段階的に都市構造を調整していく必要があります。

内水浸水想定区域内での地下空間利用の制限や、重要施設の配置見直しも、長期的には検討すべきテーマです。

住民・企業による自助・共助の強化

この点から分かるのは、「行政インフラだけでは守り切れない」前提で、住民や企業がどこまで自分ごととして備えを進めるかが、被害規模を左右するということです。

具体的には、内水ハザードマップで自宅・職場・通学路の危険箇所を把握し、大雨時に車をどこに置くか、地下や1階に重要な設備を置かないか、止水板や土のうをどこに備えるか、といったことを事前に決めておくことが重要です。

通学路冠水監視システムのような仕組みを活用し、学校・保護者・地域で情報を共有しながら、「この水位になったら通行をやめる」といった具体的な行動ルールを持つことも、子どもの安全を守るうえで有効です。

よくある質問

Q1. 松山市の内水氾濫リスクはどこで確認できますか?

A1. 市が作成した「まつやま内水ハザードマップ」と内水浸水想定区域図で、自宅や通勤・通学路の浸水リスクを確認できます。

Q2. JR松山駅の浸水はなぜ起きたのですか?

A2. 駅の排水設計が時間雨量40ミリ程度を想定していたのに対し、実際には78ミリの雨が降り、周辺の排水能力を超えたためとされています。

Q3. 松山市の下水道排水能力は十分ですか?

A3. 平常時〜一般的な豪雨には対応していますが、近年の局地的豪雨レベルでは一部地区で能力を超えるケースがあり、改善が必要です。

Q4. 雨水貯留タンクの設置には支援がありますか?

A4. 有効貯留容量1,000リットル以上の中・大規模雨水貯留施設について、一定の条件下で手続きや補助制度が設けられています。

Q5. 住民は豪雨時にどう備えればよいですか?

A5. 内水ハザードマップで浸水箇所を確認し、車や重要物の移動場所、止水板・土のうの準備、避難のタイミングを事前に決めておくことが重要です。

Q6. 子どもの通学路の冠水はどう把握できますか?

A6. 通学路冠水監視システムなどで水位を遠隔監視する仕組みが一部導入されており、学校や地域と連携して危険箇所の情報を共有できます。

Q7. 今後の松山市の内水対策の方向性は?

A7. 下水道整備基本構想に基づき、重点地区での排水対策に加え、雨水貯留・浸透施設の普及やハザードマップの活用など、多重防御型の対策が進められる見込みです。

まとめ

判断基準として重要なのは、「内水氾濫をゼロにできるか」ではなく、「どこまで被害を小さくできる仕組みを重ねられるか」です。

松山市は内水ハザードマップや浸水想定区域図の公表、雨水貯留施設の普及など、内水氾濫対策の土台づくりを進めています。

しかし、JR松山駅の浸水事例に象徴されるように、現行の下水道排水能力だけでは局地的豪雨に対応しきれず、排水能力強化と雨水貯留・浸透の組み合わせが不可欠です。

行政はインフラ整備と都市構造の見直しを、住民や企業はハザードマップを前提にした自衛的な備えを進めることで、豪雨時の浸水被害を現実的に減らしていくことができます。

こうした多層的な対策を積み重ねることが、松山市の内水氾濫リスクを抑え、安心して暮らせる都市環境を維持するための最も実践的な道筋だといえます。

中野たいせいの想い

中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。

「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。

中野たいせいの想いを読む

SUPPORTER
中野たいせいを応援する