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松山市の地域医療は維持できる?高齢化で増える医療需要への課題とは
松山市の地域医療を守るには?人材不足と医療体制の現状を解説
【この記事のポイント】
- 松山圏域では、救急搬送人員は2035年まで増え続け、2025年比で約4.4%増、介護需要も2030年頃までに2020年比20%以上増と予測されています。
- 一方で、愛媛全体では医師の数自体は増えているのに、地域医療の現場では医師不足・診療科縮小・診療所閉院が相次ぎ、「当たり前の医療」が静かに削られつつあります。
- 正直なところ、松山で医療を守るカギは、「大病院の高度医療」よりも、「身近な診療所・かかりつけ医」と「在宅医療・介護との連携」をどこまで維持・強化できるかにかかっています。
今日のおさらい:要点3つ
- 顕在ニーズ:松山市の地域医療が、高齢化が進んでも本当に維持できるのか知りたいということです。
- 潜在ニーズ:自分や親の医療・介護が、「病院の統廃合」「医師不足」の影響をモロに受けないか不安だということです。
- 行動ニーズ:住まい・かかりつけ医・親の介護・老後の過ごし方を考えるうえで、「どんな医療リスクがあるか」を具体的に押さえておきたいということです。
この記事の結論
一言で言うと、「松山市の地域医療は“都市部としての強さ”はありますが、高齢化ピークに向けて『回復期・在宅・かかりつけ』を整えないと、救急と大病院にしわ寄せが集中する」ということです。
最も重要なのは、「病院の数」ではなく、「高齢になったときに、自宅から30分以内の範囲で、かかりつけ医・総合病院・介護サービスにアクセスできるか」を基準に生活圏を選ぶことです。
失敗しないためには、「いざというとき大きい病院に行けば何とかなる」という発想をやめ、「日常を見てくれる医師」「急変時に受けてくれる病院」「自宅と施設をつなぐ介護」を、40〜60代のうちに“チーム”として整え始めることが欠かせません。
松山市の地域医療に何が起きようとしているのか
数字で見る:高齢化ピークと医療・介護需要の増加
「第3期まつやま圏域未来共創ビジョン(案)」によると、松山圏域では今後こんな変化が予測されています。
- 圏域人口:2025年約61.9万人→2040年約55.9万人(約10%減)。
- 0〜14歳人口:2025年約6.9万人→2040年約5.5万人(約20%減)。
- 15〜64歳人口:同約37.4万人→約30.6万人(約18%減)。
- 65歳以上人口:同約17.6万人→約19.8万人(約12%増)。
医療・介護需要としては、
- 救急搬送人員:2035年まで増加し、2025年比で約4.4%増。
- 介護需要:2030年頃までは急激に増加し、2020年比で20%以上増える見込み。
つまり、
- 働き手(医療職を含む)は減る。
- 高齢者は増え、救急や介護のニーズはピークを迎える。
という“需要だけ膨らむ10〜15年”にこれから入っていきます。
正直なところ、この数字を見ると、「今の医療体制をそのまま10年後も続ける」のはまず無理だと分かります。
実体験①:救急車のサイレンが「背景音」になっていく感覚
松山市内で数日滞在したとき、夜になると遠くで救急車のサイレンが聞こえることが何度かありました。最初は「誰か大変なんだろうな」と思っていましたが、3日目くらいには、サイレンが街の“背景音”のように感じ始めた自分に気付きました。
「この街では、毎晩どこかで誰かが運ばれているんだ」と実感した瞬間、「救急を守る仕組みが崩れたら、生活の安心感は一気に揺らぐ」と背筋が冷たくなりました。
医師不足の実態:数は増えても“地域の現場”が空洞化
愛媛大学医学部附属病院の広報誌では、
- 愛媛県でも医師不足等により地域医療の現場は極めて厳しい状況。
- 若手医師の多くが県外で研修・就職し、地域の担い手が減っている。
と指摘されています。
報道でも、
- 医師の数自体は増えているが、地域医療の医師不足は深刻。
- 診療所の閉院や診療科の縮小が相次ぎ、「当たり前の医療」が静かに失われている。
- 働き方改革による時間外労働規制で、「今の人数のまま同じ量の医療を提供する」のは不可能になりつつある。
という現場の悲鳴が伝えられています。
正直なところ、「医師数が足りている/足りていない」という単純な話ではなく、「どの地域の、どの診療科に、どれだけ人がいるか」という“偏り”の問題です。
病床と機能の見直し:急性期から回復期・在宅へ
愛媛県の地域医療構想に関する資料では、
- 入院を伴う手術需要のピークは2030年頃。
- 高齢患者の割合が高まることで、急性期系の入院需要のピークが早まり、その後は回復期・慢性期・在宅へのシフトが必要。
と分析されています。
また、将来的には
- 急性期病床の一部を回復期・慢性期に転換。
- 在宅医療・地域包括ケアの体制強化。
が避けられない課題とされています。
松山圏域ではすでに、愛媛県立中央病院救命救急センターを頂点に、愛媛大医学部附属病院・松山赤十字病院・松山市民病院などが三次・二次救急を分担し、病院群輪番制で二次救急を支えています。
正直なところ、「救急車で運ばれたときの受け皿」は今もこれからも確保される方向ですが、その前後——
- 救急に至る前の日常管理(かかりつけ医)。
- 退院後の回復期医療・在宅医療。
を担う現場がどこまで持ちこたえられるかが、地域医療の“肝”になってきます。
現場で起きていることと、暮らしへの影響
当たり前だった診療所・小さな病院が、静かに減っていく
新聞や専門誌の記事では、
- 高齢の開業医が後継者不在で引退し、診療所が閉院。
- かつてあった産科・小児科・眼科などの診療科がなくなり、隣町まで通う必要が出てきた。
といったケースが日本各地で報告されています。
松山圏域でも、
- 小児科および産婦人科医が少なく、不在となっている市町も見られる。
- 将来の介護需要・救急搬送の増加に備え、医療・介護体制の構築が求められている。
と課題が整理されています。
よくあるのが、「親が元気なうちは近所の診療所のありがたみが分からず、いざ必要になったときには先生が引退していた」というパターンです。
実体験②:長年通った医院の「閉院のお知らせ」と、胸のざわめき
これは自分の実家近くで起きた話です。ある日ポストを開けると、「○○内科クリニック閉院のお知らせ」という印刷物が入っていました。
そこは、子どもの頃から家族が風邪やちょっとした不調のたびにお世話になっていた場所。
「実は、院長が高齢のため○月をもって閉院いたします」という一文を見た瞬間、胸の奥に小さなざわめきが広がりました。
「じゃあ、次からどこに行けばいいんだろう?」
ネットで検索すればクリニックはいくつも出てきます。でも、「長年のカルテ」と「お互いの空気感」で築いてきた関係は、数字や施設の数では代えがたいものがあります。
松山でも、似たような“静かな喪失”が少しずつ増えていくことを想像すると、「地域医療を守る」という言葉が、急に自分事として迫ってきます。
救急と大病院への負担集中:働き方改革との綱引き
医師の働き方改革で、時間外労働に上限が設けられるようになりました。
- これまで「頑張って何とか回していた」救急当直や夜間の対応を、そのままの人数では続けられない。
- 高度急性期・救急を担う大病院では、若手医師の県外流出も重なり、シフトのやりくりが限界に近い。
という声も出ています。
松山圏域では、愛媛県立中央病院救命救急センターと複数の基幹病院が輪番制で救急を支えていますが、
- 軽症の救急受診が多い。
- 本来はかかりつけ医で診るべきケースが大病院に集中する。
といった問題は全国共通です。
正直なところ、「いざというときの救急医療」を守るには、「日常の受診行動」「かかりつけ医制度の活用」が不可欠です。
介護と医療のグレーゾーン:どこまで医療、どこから生活支援か
高齢化が進むと、
- 認知症+身体疾患。
- 多剤併用。
- 転倒・骨折・誤嚥性肺炎・尿路感染などの繰り返し。
といった、“医療と介護の間”の課題が増えます。
まつやま圏域のビジョンや圏域計画でも、
- 地域包括ケアシステムの推進。
- 在宅医療と介護の連携。
- 高齢になっても住み慣れた地域で暮らし続けられる体制づくり。
が重要な方針として掲げられています。
しかし、現場では、
- 介護保険サービスだけでは支えきれない生活上の課題。
- 医療側と介護側の連携不足。
- 家族の負担感と、「どこまで医療に頼るか」の迷い。
が残りやすいのが現実です。
正直なところ、「地域医療を守る」とは、「病院を守る」だけでなく、「介護・生活支援・家族を含めたチームを守る」ことでもあります。
松山市の地域医療を“自分事”として守るための視点
視点1:「病院の数」ではなく「生活圏の医療チーム」で考える
これからの医療安心度は、「家から何キロの場所に病院があるか」では測り切れません。
大事なのは、
- 日常的な体調管理をするかかりつけ医・薬局。
- いざというときに入院・検査をしてくれる総合病院。
- 退院後の回復期・在宅を支える訪問診療・訪問看護・介護事業所。
が、自分の生活圏に“セット”として存在しているかどうかです。
ケースによりますが、
- 自宅から徒歩・バス・車で30分以内の範囲で、この3つの役割を担う医療機関を一度地図に落とす。
- 自分と親・家族それぞれの「医療チーム」を紙に書いてみる。
これだけでも、松山市での医療リスクの見え方が変わります。
視点2:40〜60代の「今」が、70〜80代の医療アクセスを決める
よくあるのが、「親が急に倒れてから」「自分が病気になってから」慌てて医療機関を探すパターンです。これは正直、かなりしんどいです。
松山のような中核都市では、
- 基幹病院を一度受診しておき、カルテを作っておく。
- かかりつけ医に、自分や親の持病と生活状況を共有しておく。
- 地域包括支援センターやケアマネージャーの存在を知っておく。
といった「予習」ができます。
40〜60代のうちにこれをやっておけば、70〜80代での医療アクセスは、驚くほど楽になります。
正直なところ、「元気なうちに病院に行く」のは心理的ハードルが高いですが、一度行っておくと、
- 建物の雰囲気。
- 待ち時間の感覚。
- 医師やスタッフとの相性。
が分かり、いざというときの不安が半分くらい減ります。
視点3:医療人材を“外側から増やす”工夫への関心を持つ
愛媛大学や地域医療支援センターなどでは、
- 地域枠奨学制度による医学生の育成。
- 地域医療に必要とされる人材の育成と配置。
- 病院の勤務環境改善や医師教育体制の強化。
に取り組んでいます。
これは一見、自分の生活とは遠い話に見えますが、
- 将来松山で診てもらう医師を増やす。
- 若い医師が「この地域で働き続けたい」と思える環境を整える。
という意味で、地域医療の“外側からの守り”です。
市民としてできることは小さいですが、
- 地域医療に関するニュースや取り組みに関心を持つ。
- 無理な救急受診を控え、かかりつけ医を活用する。
- 医療職の家族や友人がより良い環境で働けるような社会の空気づくりに協力する。
といった一つひとつも、「医療を守る」行動になります。
よくある質問
Q1. 松山市の地域医療は、高齢化が進んでも維持できますか?
A1. 救急・高度急性期については、県立中央病院や松山赤十字病院などの基幹病院があり、体制は維持・再編されていくと見込まれます。ただし、身近な診療所・回復期・在宅医療の現場は人材不足の影響を受けやすく、形を変えながらの維持になります。
Q2. 医師不足は、松山でも深刻なのでしょうか?
A2. 医師数自体は増えているものの、診療所の閉院や診療科の縮小など、地域医療の現場では厳しい状況が続いています。特に小児科・産婦人科・在宅医療を担う医師の確保が課題です。
Q3. 自分や親の診療圏を考えるうえで、何を基準にすればいいですか?
A3. 「自宅から30分以内で行けるか」「かかりつけ医→総合病院→在宅・介護のルートが描けるか」が目安です。車に頼りすぎず、バスやタクシーで通えるかどうかも重要です。
Q4. 病院統合やベッド削減で、入院しづらくなりませんか?
A4. 地域医療構想では、急性期病床の一部を回復期・在宅にシフトさせる方向ですが、これは「必要な人に必要なベッドを割り当てる」ための再編でもあります。適切なルートを使えば、むしろ流れはスムーズになります。
Q5. 松山市に移住しても、医療面で不利になりませんか?
A5. むしろ四国内では医療資源が集中しているエリアで、救急・高度医療を含めたアクセスは良好です。ただし、在宅医療やかかりつけ医の有無など、住むエリアによる差は意識すべきです。
Q6. 親の介護と医療の両立が不安です。どこに相談すればいいですか?
A6. 地域包括支援センターが、医療・介護・福祉の総合的な相談窓口です。かかりつけ医や病院の地域医療連携室とも連携してくれるので、まずはそこに状況を話すのがおすすめです。
Q7. 今から個人としてできる、一番効果的な備えは何ですか?
A7. 一番効くのは、「自分と親それぞれについて、かかりつけ医・総合病院・介護相談先(包括支援センターなど)を1つずつ紙に書き出し、家族と共有すること」です。それだけで、急な体調不良時の不安は大きく減ります。
まとめ
松山市の地域医療は、人口減少の中でも中核病院と救急体制を中心に維持されていく一方で、高齢化に伴う救急・介護需要の急増と、診療所・在宅医療の人材不足という構造的な課題を抱えています。
「医療を守る」とは、大病院を守るだけでなく、かかりつけ医・回復期医療・在宅・介護をつなぐ“生活圏の医療チーム”を維持することであり、そのためには住民側も受診行動や住まい方、相談窓口の使い方を変えていく必要があります。
中野たいせいの想い
中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。
「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。