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松山市の公共交通維持は可能?赤字路線問題をどう考えるべきか

松山市の公共交通はどう存続させる?衰退を食い止める実践的アプローチ

松山市の公共交通は深刻な危機に直面しています。伊予鉄道の利用者数は昭和50年のピーク時から半減し、バスに至っては3分の1以下に減少しました。公共交通の分担率は昭和54年の10.1%から平成19年には3.9%まで低下しています。赤字路線の維持には年間数億円規模の補助金が必要ですが、自動車依存が進む中で持続可能性に疑問符がつきます。公共交通を守るには、補助金だけでなく、利用促進策とコンパクトシティ政策を組み合わせた総合的アプローチが不可欠です。

この記事のポイント

  • 松山市の公共交通利用者数はピーク時から半減し、分担率は3.9%まで低下しました
  • 赤字路線の維持には年間数億円規模の公的補助が必要な状況です
  • 公共交通維持には補助金投入だけでなく、利用促進とまちづくりの連動が不可欠です

今日のおさらい:要点3つ

  • 松山市の公共交通利用者数はピーク時の半数以下に減少し、分担率3.9%という危機的状況にあります
  • 赤字路線への補助金投入だけでは持続可能性を確保できず、利用促進策との両輪が必要です
  • コンパクトシティ政策と連動した居住誘導により、自動車に依存しない暮らしの選択肢を広げることが重要です

この記事の結論

  • 松山市の公共交通は利用者半減により存続の危機に瀕しています
  • 赤字路線への補助金投入は必要ですが、それだけでは持続可能性は確保できません
  • 公共交通を守るには利用者を増やす施策とコンパクトシティ政策の同時推進が必要です
  • 「赤字だから廃止」ではなく、公共交通を社会インフラとして位置づける視点が重要です

松山市の公共交通が直面する厳しい現実

利用者激減が示す構造的問題

深夜、時刻表アプリを何度も開いては閉じる。最終バスまであと10分しかありません。タクシーを呼ぶか、諦めて歩くか。そんな選択を迫られた経験がある人は少なくないでしょう。松山市の公共交通利用者数は、昭和50年のピーク時と比較して伊予鉄道郊外線や市内電車は半分以下、バスに至っては3分の1以下に減少しています。

代表交通手段分担率で見ると、公共交通(鉄道・バス等)は昭和54年の10.1%から平成19年には3.9%にまで低下しました。一方で自動車分担率は38.7%から50.5%へと大幅に増加しています。つまり、市民の半数以上が自動車を主な移動手段としており、公共交通への依存度は極めて低い状況です。

実は、この数字は全国的な傾向でもあります。地方都市では自動車保有率が上昇し、公共交通の利用者減少が続いています。松山市の自動車保有台数は平成17年まで右肩上がりに増加し、以降も高水準で推移しています。各世帯に1台以上の自動車がある状況では、公共交通を使う動機が弱くなります。

加えて、若い世代の間でも公共交通離れが進んでいます。学生時代はバスや電車を使っていても、就職して自動車を購入した途端に公共交通を使わなくなるパターンは典型的です。一度自動車中心の生活に慣れると、公共交通へ戻ることは難しくなります。

赤字路線への補助金投入の実態

よくあるのが、「赤字路線は廃止すべき」という声です。確かに、利用者が少なく収益性の低い路線を維持するには、多額の公的補助が必要になります。松山市でも、バス路線やローカル鉄道の維持に年間数億円規模の補助金を投入しています。

ある市役所職員は「補助金を出し続けるのは財政的に厳しいが、廃止すれば高齢者や学生の移動手段が奪われる。ジレンマだ」と漏らします。正直なところ、赤字路線への補助は「負担」として捉えられがちですが、公共交通を社会インフラとして考えれば、道路や橋の維持と同様に必要なコストです。

ケースによりますが、赤字路線でも通学や通院に欠かせない生活路線である場合が多いです。廃止すれば、自動車を運転できない高齢者や学生が孤立し、地域の衰退が加速します。公共交通の役割は、単なる移動手段ではなく、地域社会を支えるセーフティネットでもあります。

道路整備には毎年膨大な税金が投入されているにもかかわらず、それを「補助金」と呼ぶ人はいません。一方、公共交通への支援だけが「赤字補填」として批判されがちな現状には、認識のズレがあります。公共交通を「ビジネス」ではなく「インフラ」として捉える視点の転換が求められています。

人口減少と高齢化が追い打ちをかける

松山市の人口は既にピークを過ぎ、減少局面に入っています。さらに高齢化率も上昇しており、2040年には3人に1人が65歳以上になると予測されています。高齢者は公共交通の重要な利用者層ですが、人口減少により絶対数は減少します。

一方で、高齢ドライバーの事故が社会問題化しており、運転免許返納の動きも広がっています。免許を返納した高齢者にとって、公共交通は唯一の移動手段になります。しかし、現状の路線網や運行本数では、日常生活に必要な移動をカバーできない地域も多いのが実態です。

特に郊外の住宅地では、バスの本数が1日数本しかないエリアもあり、買い物や通院に支障をきたすケースが増えています。免許返納をためらう高齢者の多くは、「車がないと生活できない」という切実な事情を抱えており、公共交通の代替機能を強化する必要性は年々高まっています。

公共交通を持続可能にする3つの戦略

補助金投入の透明性と効果測定

最初は半信半疑でしたが、公共交通への補助金投入は「無駄遣い」ではありません。問題は、補助金の使途や効果が不透明な点です。どの路線にいくら補助しているのか、その結果利用者数や収支がどう変化したのか、市民に分かりやすく公表する必要があります。

他の自治体では、路線ごとの収支や補助金額を公表し、市民の理解を得ています。また、補助金投入の判断基準を明確化し、「利用者数が年間〇人を下回った場合は廃止を検討」といったルールを設けている例もあります。

松山市でも、公共交通への補助金投入の透明性を高め、効果測定を厳格に行うことで、市民の納得感を高める必要があります。同時に、利用者を増やす施策に投資し、補助金依存から脱却する道筋を示すことが重要です。

データの公開は、市民が公共交通の現状を正しく理解するための第一歩です。「なぜこの路線にこれだけの補助が必要なのか」「利用者が少なくても残すべき理由は何か」を丁寧に説明することで、補助金への理解と支持が広がります。

利用促進策による需要喚起

公共交通を維持するには、利用者を増やすしかありません。松山市では、PTPS(公共交通優先信号システム)の導入、バスロケーションシステムの拡充、屋根付バス停の整備、ICカード導入、低床バスの導入など、ハード・ソフト両面からの取り組みを進めてきました。

これらの施策により、平成12年から18年にかけてバス利用者は一時的に増加傾向に転じました。ただし、その後は再び減少に転じており、継続的な利用促進策が必要です。

実は、利用促進で最も効果的なのは「使いやすさの向上」です。バスがいつ来るかわからない不安、乗り方がわからない戸惑い、運賃体系の複雑さなど、利用のハードルを下げることで、潜在的な利用者を掘り起こせます。バスロケーションシステムにより、スマホでバスの到着時刻をリアルタイムで確認できるようになれば、利用のハードルは大幅に下がります。

運賃体系の見直しも検討すべき課題です。一日乗車券や定期券、回数券の価格設定を工夫することで、公共交通利用のハードルを下げることができます。子育て世代向けの割引や、観光客向けのパス商品など、多様なニーズに応える料金設計が求められます。

コンパクトシティ政策との連動

公共交通の維持には、まちづくり政策との連動が不可欠です。松山市では「歩いて暮らせるまちづくり」構想を策定し、中心市街地の活性化に取り組んでいます。公共交通沿線に居住を誘導し、駅やバス停から徒歩圏内で日常生活が完結する都市構造を目指しています。

富山市の事例では、LRT(次世代型路面電車)を導入し、公共交通沿線への居住誘導策を実施することで、中心市街地の人口減少に歯止めをかけました。公共交通の利便性を高めることで、自動車に依存しないライフスタイルを選択する市民が増えています。

松山市でも、公共交通沿線の居住誘導策を強化し、駅やバス停周辺に商業施設や医療機関、公共施設を集約することで、公共交通の利用価値を高める必要があります。自動車がなくても暮らせる環境を整えることが、公共交通維持の鍵を握ります。

逆に、郊外型ショッピングセンターや病院、公共施設が分散している現状では、自動車なしでの生活が困難になります。新規の大規模施設の立地誘導や、既存施設の再配置を含めた都市計画の見直しが、長期的な視点で求められます。

他都市の成功事例に学ぶ維持戦略

富山市のLRT導入と居住誘導

富山市では、JR富山港線を廃止してLRT「富山ライトレール」を整備し、公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりを推進しています。LRTの利用者数は開業前のJR時代と比較して約2倍に増加しました。

この成功の要因は、単なる交通機関の更新ではなく、まちづくり政策と連動させた点にあります。公共交通沿線への居住誘導、バリアフリー化、運行本数の増加など、総合的な施策により利用価値を高めました。

富山市の取り組みで特筆すべきは、市民の意識変革を伴った点です。「自動車中心から公共交通中心へ」というメッセージを行政が発信し続けることで、市民のライフスタイル選択にも影響を与えました。松山市でも、こうした長期的な意識改革のキャンペーンが必要です。

京都市営バスの「混雑対策」と増収

京都市営バスは、観光客の増加により混雑が深刻化していましたが、「前乗り後降り」方式の導入や、ICカード利用促進により、乗降時間を短縮し定時性を向上させました。結果として利用者満足度が上がり、増収にもつながっています。

この事例から学べるのは、公共交通の「質」を高めることの重要性です。単に路線を維持するだけでなく、定時性、快適性、利便性を向上させることで、利用者を増やすことができます。

利用者の声を反映した改善を継続的に行う姿勢も見習うべきポイントです。アンケート調査や利用データの分析を通じて、サービスを進化させる仕組みが定着すれば、公共交通は「使いたいもの」へと変わっていきます。

よくある質問

Q1. 松山市の公共交通利用者数はどのくらい減少していますか?

A1. 昭和50年のピーク時と比較して、伊予鉄道郊外線や市内電車は半分以下、バスは3分の1以下に減少しています。

Q2. 公共交通の分担率はどのくらいですか?

A2. 昭和54年の10.1%から平成19年には3.9%まで低下しています。

Q3. 赤字路線への補助金はどのくらい必要ですか?

A3. 年間数億円規模の公的補助が投入されていますが、詳細な金額は路線や年度により異なります。

Q4. 赤字路線は廃止すべきですか?

A4. 単純に廃止すると高齢者や学生の移動手段が失われ、地域の衰退が加速します。社会インフラとして維持する視点が重要です。

Q5. 公共交通を利用しやすくする施策は何ですか?

A5. バスロケーションシステム、ICカード、低床バス、PTPS(バス優先信号)などがあります。

Q6. コンパクトシティ政策とはどんな関係がありますか?

A6. 公共交通沿線に居住を誘導し、自動車に依存しないまちづくりを進めることで、公共交通の利用価値が高まります。

Q7. 他都市で成功している事例はありますか?

A7. 富山市のLRT導入や、京都市営バスの混雑対策などが成功事例として知られています。

Q8. 高齢者の移動手段をどう確保すべきですか?

A8. 公共交通の維持に加え、デマンド交通やコミュニティバスなど、多様な移動手段を整備する必要があります。

Q9. 自動車依存から脱却するにはどうすればいいですか?

A9. 公共交通の利便性向上と、公共交通沿線への居住誘導を同時に進めることが重要です。

Q10. 公共交通維持のために市民ができることは何ですか?

A10. 週に1回でも公共交通を利用することです。利用者が増えれば、路線の維持可能性が高まります。

まとめ

松山市の公共交通は、利用者数がピーク時から半減し、分担率3.9%という危機的状況にあります。赤字路線の維持には年間数億円規模の公的補助が必要ですが、補助金投入だけでは持続可能性は確保できません。公共交通を守るには、利用促進策とコンパクトシティ政策を組み合わせ、自動車に依存しないライフスタイルを選択できる環境を整える必要があります。富山市のLRT導入や京都市営バスの混雑対策など、他都市の成功事例に学び、公共交通を単なる移動手段ではなく、地域社会を支える社会インフラとして位置づけることが重要です。

中野たいせいの想い

中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。

「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。

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