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松山市の公共施設維持は限界なのか?老朽化と財政負担の現実を整理

松山市の公共施設は今後どうなる?維持更新と統廃合の考え方を解説

【この記事のポイント】

  • 公共施設を「全部残す」は現実的ではなく、20%削減を前提にした再編が進んでいます。
  • 「どの施設を残すか/減らすか」は、人口減少と財政状況、利用状況を踏まえた長期計画で決まります。
  • 住民側が早めに情報を取りに行き、地域の意向を出しておくほど、「納得感のある統廃合」になりやすいです。

今日のおさらい:要点3つ

  • 「老朽化の波」と「財政の壁」は、すでに数字で見えている将来リスクです。
  • 松山市は、50年で施設量20%削減+長寿命化でなんとか財政破綻を避けようとしています。
  • 住民にとって大事なのは、「施設そのもの」よりも「欲しい機能をどこでどう確保するか」を考える視点です。

この記事の結論

一言で言うと、「全ての公共施設を残すことは不可能で、優先順位を付けて再編する段階に入っている」ということです。

最も重要なのは、「どの地域でどの機能を残すか」を市と住民が一緒に決めていくことです。

失敗しないためには、「気づいたら閉館が決まっていた」とならないよう、早めに情報収集と意見表明をしておくことです。

なぜ『維持の限界』が語られるのか

40〜50年前に集中整備されたツケが、一気に来ている

松山市が持つ公共施設は、道路などのインフラを除いて約1,400施設(約4,000棟)、延べ約163万㎡とされています。その多くが昭和40年代後半〜平成初期に集中的に整備されており、今後数十年の間に大規模改修・建替えの時期が連続して訪れると、市自身が分析しています。

一般的に、鉄筋コンクリート造の建物は築30年前後で大規模改修、築60年前後で建替え時期と言われ、松山市も同様の前提で更新費用を試算しています。松山市の「公共施設マネジメント基本方針」では、今後40年間の公共施設改修・更新費用を試算すると総額約5,813億円、年平均約145億円必要になると示されています。正直なところ、この数字を見た瞬間、「このままは無理だな…」と僕は腹の中でつぶやきました。

実体験:市民会館の老朽化を目の当たりにしたとき

数年前、松山市民会館の中ホールでイベントに参加したとき、空調の効きが悪くて、冬なのに薄手の上着を脱げずに最後まで座っていたことがあります。観客席に座っているときは「まあ古い建物だし、こんなものか」と思っていましたが、後でニュースで「2036年度末まで使い続けるには改修費用が約29億円」という話を見て、背筋がすっと冷えた感覚がありました。舞台装置や空調の更新まで含めると、「見た目の古さ」の裏に、とんでもない数字が隠れています。頭では知っていたけれど、肌感覚として理解した瞬間でした。

財政の現実:社会保障費と更新費用が同時に膨らむ

松山市の歳入はここ十数年、おおむね1,600〜1,800億円で推移していますが、市税などの自主財源はほぼ横ばい、自主財源比率も約47%にとどまっています。一方で、歳出では人件費・扶助費・公債費といった義務的経費が増加しており、とくに扶助費は8年間で約1.6倍に増えたと市は説明しています。

この中で公共施設の建設・更新に充てられる「普通建設事業費」のうち、公共施設関連分は合併後の平均で年約67億円です。一方、「今後40年の公共施設の改修・更新費用」は年平均約145億円と試算されており、単純に見れば「毎年約80億円足りない」水準です。

実は、このギャップを埋めないまま「全部の施設をそのまま更新する」と、道路や橋といったインフラ整備に回すお金が削られ、場合によっては基金の取り崩しや過度な借金に頼ることになりかねないと、基本方針の中でも警鐘を鳴らしています。

人口減少と高齢化で、「一人あたり負担」が増えていく構造

松山市の人口はこれまで微増〜横ばいでしたが、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、平成52年(2040年頃)には約15%減少すると見込まれています。同時に、65歳以上の高齢人口は増え続け、15〜64歳の生産年齢人口は減少し続けるとされています。

市が保有する公共施設の延べ面積は約161〜163万㎡で、市民一人あたり約3.1㎡です。人口が減っても施設量が変わらなければ、一人あたりが「背負う」維持管理費は確実に重くなります。よくあるのが、「人口が減るならむしろ施設を増やして賑やかにすべきだ」という感覚ですが、財政構造から見ると、その逆をやらざるを得ないフェーズに入っています。

松山市は何を決めたのか:20%削減と長寿命化

50年で施設総量20%削減という明確な目標

松山市は「公共施設再編成計画(概要版)」で、今後50年間の更新費用(一般会計分)を約4,882億円、年平均約98億円と試算しています。合併後の普通建設事業費の年平均が約74億円であることから、年平均約24億円の財源不足が生じるとし、その埋め合わせとして「今後50年間で施設総量を20%削減する」という目標を掲げています。

ポイントは、「一律20%」ではなく、用途別に削減目標を変えていることです。学校や庁舎などは25%以上の削減、公園やスポーツ施設などは20%以上、市営住宅や消防施設は最低5%以上の削減、といった形で、機能の重要度と将来需要を踏まえた設定になっています。子育て施設は当面現状維持とされている点も、人口動態をにらんだ調整です。

「量を減らす」と同時に「長く使う」戦略

施設量を減らす一方で、「残す施設はできるだけ長く使う」という方針も明確です。松山市の公共施設マネジメント基本方針では、鉄筋コンクリート造について新築時は70年以上、既存施設も60年以上の使用を目標にし、予防保全型の維持補修に切り替えると定めています。

予防保全は、故障してから直す「事後保全」と比べてライフサイクルコストを抑えられ、利用者への影響も小さくできます。実は、市の説明を読むと、「壊れたらその都度直すやり方を続ける方が、結果的に高くつく」という、現場感のある反省がにじんでいます。

ここで、全国事例として山形市の試算を引用すると、長寿命化対策を実施することで、今後40年間に必要な更新費用が抑えられ、公共施設(建物)の年あたり整備額は106.8億円から64.8億円へ約40%削減できるとされています。松山市とは別の自治体ですが、「施設を減らし、かつ長寿命化する」戦略の合理性を裏付けるデータとして参考になります。

「機能重視」への転換:施設名ではなく、何ができる場所か

松山市の基本方針の中で、個人的に一番重要だと思うのが「施設重視から機能重視へ」という考え方です。例えば、「会議室が必要な人は、会議室の機能さえあれば、建物名が何であろうと利用する」という説明がその象徴です。

実は、僕自身もある地域で「公民館がなくなるらしい」という話を聞いたとき、最初は名前に強く反応しました。ところが、計画書をよく読むと「近接する学校と複合化し、会議室やホール機能は維持」と書かれていました。最初に「なくなる」という言葉だけを聞いたときの胸のざわつきと、そのあと「機能は残る」と知って少し肩の力が抜けた感じ。あのギャップは、たぶんどこの街でも起きる感情だと思います。

現場では何が起きるのか:統廃合・複合化のリアル

現場事例①:市民会館・北条市民会館など文化施設の行方

公共施設再編成計画では、松山市民会館は「松山駅周辺の車両基地跡地に大ホール・中ホール機能が整備される場合、築後60年(平成35年頃)を目途に現施設を閉館」とされています。併せて、PFIなど民間ノウハウを活用した運営方法の見直しも検討対象に含まれています。

北条市民会館については、北条ふるさと館との複合化や、ホール設備は松山市民会館で使っていた機器を活用してコスト削減を図りつつ、やはり築60年程度での廃止も視野に入れて検討するとされています。

ある文化団体の方と話したとき、「最初は『また文化が切り捨てられるのでは』と身構えていたけれど、具体的な複合化案や代替機能の説明を聞いて、ようやく“戦略的な集約”だと腹に落ちた」と漏らしていました。正直なところ、市の文章だけを読むと淡々としていますが、現場側には大きな不安と葛藤があります。

現場事例②:学校・公民館・支所の“地域拠点化”

計画では、小中学校・公民館・支所など、地域に分散している施設を「地域拠点複合施設」としてまとめる方向性が示されています。学校は児童生徒数の推移を見ながら適正規模で更新し、公民館や児童クラブなどを同じ敷地内に複合化するケースも想定されています。

実は、僕が別の市で見た例では、旧来の公民館が学校敷地内の複合施設に移転したあと、高齢者の方から「行きづらくなった」という声が上がりました。校門を通る心理的ハードルや、夜間の出入り問題など、机上では見えづらい課題です。松山市でも、計画書には「地域要因を踏まえた検討」と書かれていますが、現場でどこまで細かい生活感を拾えるかが、成否を分けるポイントになると感じています。

よくある失敗パターン:数字だけで決めて、感情をこぼす

全国の公共施設再編を見ていると、よくあるのが次のようなパターンです。

  • 「利用率が低いから閉館」とだけ説明され、地域の“居場所”としての価値が軽視されます。
  • 代替施設までのアクセス(徒歩・バス・車)が十分に検証されません。
  • 「耐震性不足だから急いで閉鎖」と、安全面だけを盾に議論を打ち切ってしまいます。

松山市の計画では、「説明会・ワークショップを通じて市民と協働で進める」と明記されていますが、これも紙の上だけで終わってしまうと、「気づいたら決まっていた」という不信につながります。ケースによりますが、施設そのものへの愛着と、財政・安全上の制約の間で、かなり丁寧な対話が必要になる局面です。

他の選択肢や手法との比較

単純な建替え vs 長寿命化+統廃合

観点 単純建替え中心 長寿命化+統廃合中心
初期費用 高くなりがち 小さく抑えやすい
年間財政負担 ピークが集中しやすい 平準化しやすい
施設量 現状維持〜増加 計画的に20%削減
利便性 身近な施設が多い 拠点集中で移動距離増も
持続可能性 財政リスク大 持続可能性は高まる

山形市の試算でも、長寿命化対策により更新費用を抑え、年間整備額を大きく削減できるとされています。松山市も同様に、長寿命化と統廃合を組み合わせる方向性を取ることで、財政破綻リスクを抑えつつ、市民サービスを維持しようとしています。

売却・民間活用(PPP・PFI)はどこまで使えるか

松山市は、未利用地や低稼働施設の売却・貸付を進めるとともに、PFI(Private Finance Initiative)や官民協働事業(PPP)を積極的に活用するとしています。例えば、清掃施設やスポーツ施設、斎場などでPFIの検討が明記されており、民間の資金・技術を活かして建設・運営コストの削減を図る方針です。

愛媛県松山市と千葉県佐倉市が学校空調設備整備にPFIを導入した事例では、従来方式なら3年かかるところを2年で全小中学校へのエアコン設置を完了し、費用も10年以上の分割払いで単年度負担を軽減したと紹介されています。こうしたスキームをうまく使えば、「必要なところには早く手を打ちつつ、財政負担を平準化する」ことが現実的になります。

実は、PFIやPPPという言葉だけ聞くと、「結局は民営化でしょ?」と身構える人もいます。ただ、現場の担当者に聞くと「全部を民間任せにするのではなく、行政が責任を持つ範囲を残しつつ、得意なところだけ外に出す」という温度感で考えているケースが多いのが実情です。

住民としてどう向き合うか:行動のポイント

こういう人は今すぐ情報を取りに行くべき

  • よく使う公民館・市民館・スポーツ施設が築30〜40年を超えている地域に住んでいる方
  • 子どもの学校が老朽化していて、校舎改修の話が出始めている方
  • 地域の文化活動やサークル活動の拠点が「市の施設」に依存している方

こうした場合は、市の「公共施設マネジメント基本方針」「公共施設再編成計画」だけでなく、用途別の「個別施設計画」や地域別の説明資料を一度チェックしておく価値があります。正直なところ、「うちの施設はまだ大丈夫だろう」と思っていると、計画のサイクルが回り始めたときには議論の大枠が固まっている、というタイミングのズレが起きがちです。

「この状態ならまだ間に合う」サイン

  • まだ「基本方針レベル」の説明しか出ておらず、具体的な施設名や年度が明記されていません。
  • 計画書に「ワークショップや説明会を通じて市民と協働で進める」と書かれていますが、まだ地域で実施されていません。
  • 周辺の複数施設について、「複合化の可能性を検討」とだけ書かれている状態です。

この段階なら、自治会や利用団体単位で「施設の使い方」「必要な機能」「代替案の許容範囲」を整理し、市に対して意見を届けておくことで、再編案の具体設計に影響を与えられる余地があります。

迷っているなら、こう考えるのがおすすめ

  • 「建物名」にこだわるか、「機能」と「アクセス」にこだわるか。
  • 「今の場所」にこだわるか、「数十年先の子どもたちの負担」を軽くするか。
  • 「この10年の使い勝手」と、「50年スパンの財政の持続可能性」のどちらを重く見るか。

ケースによりますが、個人的には「名前」や「外観」は多少変わっても、「頻度の高い機能」と「通える範囲」が担保されるなら、長期的な負担軽減を優先した方が、地域全体としては得だと感じています。その一方で、実は「歩いて行ける居場所」が高齢者の生活の質に直結していることも事実で、ここをどう折り合うかが、まさに地域ごとの議論の要になるところです。

よくある質問

Q1. 松山市の公共施設は、本当に維持が限界レベルなんですか?

A1. 今後50年間の更新費用は約4,882億円、年平均約98億円と試算されており、従来の投資ペース(年74億円)と比べて毎年約24億円不足すると市が公表しています。結論として、「今のまま全てを維持更新するのは極めて難しい状況」です。

Q2. 施設総量20%削減は、いつまでにどのくらい進む想定ですか?

A2. 計画では、50年間で20%以上削減することを目標に、各期ごとに1〜2%から始めて段階的に削減率を高め、最終的に20%以上に到達するスケジュールが示されています。いきなり大幅削減ではなく、建替え時期などに合わせて徐々に進める考えです。

Q3. どの施設が優先的に統廃合の対象になりますか?

A3. 用途別の方向性として、学校や庁舎、スポーツ施設、福祉施設などは複合化・適正規模化・一部廃止などにより20〜25%以上の削減を目標としています。一方、市営住宅や消防施設などは最低5%以上の削減とされ、完全な一律ではありません。

Q4. 住民が反対したら、統廃合は止められますか?

A4. 計画上は、市民との協働や説明会・ワークショップを通じて再編を進めるとされていますが、財政と安全性の制約があるため、全面的な現状維持は現実的ではありません。実際には、「どう再編するか」を一緒に調整する余地が大きいと考える方が現実的です。

Q5. 公共施設の老朽化は、安全面でどれくらい危険なんでしょうか?

A5. 松山市は、老朽化対策を講じずに放置すると倒壊など重大な事故につながる可能性があると明記し、耐震性や劣化状況の把握と中長期保全計画の策定を進めるとしています。数字で「いつ崩れる」と断定はしていませんが、安全リスクを前提に計画を立てている状態です。

Q6. PFIや民間活用は、市民サービスが悪くなるリスクはありませんか?

A6. PFI・PPPは、民間の資金やノウハウを活用して建設・運営コストを抑えつつ、サービスの効率化を図る手法として位置づけられています。契約設計を誤るとサービス低下のリスクもありますが、うまく設計すれば、エアコン整備のように短期間で整備を進めつつ、単年度負担を抑える効果も期待できます。

Q7. 市民として、具体的に何をすればいいですか?

A7. まず、自分がよく利用する施設の築年数や位置付け(広域対応施設か地域対応施設か)を確認し、関連する個別計画や説明会情報をチェックすることが出発点です。その上で、自治会や利用団体単位で「必要な機能」「代替案の許容範囲」を整理し、市にフィードバックしておくことで、具体的な再編案に反映される可能性が高まります。

まとめ

  • 松山市の公共施設は、40〜50年前の集中整備の結果、今後数十年にわたって更新・改修のピークが押し寄せる状況にあり、更新費用は50年で約4,882億円と試算されています。
  • 財政面では、市税などの自主財源が伸び悩む一方で、社会保障費など義務的経費が増え続けており、公共施設関連の投資を従来ペースで続けるのは難しい状況です。
  • そのギャップを埋めるため、松山市は今後50年間で施設総量20%削減と、予防保全による長寿命化を両輪とする「公共施設マネジメント」を基本方針として掲げています。
  • 統廃合は「施設名を減らす」だけでなく、学校・公民館・支所などを複合化し、「機能重視」で地域拠点を再設計する方向性が示されています。
  • 住民にとって重要なのは、「知らないうちに決まっていた」とならないよう、早い段階から情報を取りに行き、必要な機能や代替案について声を上げていくことです。

中野たいせいの想い

中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。

「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。

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