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松山市で大学進学による流出が止まらない理由とは?若者定着に必要な施策を考える
進学・就職・定住をつなぐ切れ目ない支援で若者定着を実現する
【この記事のポイント】
松山市から県外大学への進学は、愛媛全体の若者流出の大きな要因であり、特に進学後にUターン就職を希望しない学生の多さが構造的な課題になっています。
若者定着には、「学びの選択肢の魅力」と「地元でのキャリア機会・暮らしの質」をセットで示すことが不可欠であり、進学前から就職・定住までを見通した支援設計が求められます。
松山市が既に進めている人口減少対策や移住者定着支援に、奨学金返還支援・インターン・リモートワーク支援などを組み合わせることで、「戻りやすく、残りやすい」都市への転換が可能です。
今日の要点3つ
- 松山市の大学進学流出は、「県外大学進学後にUターンを選ばない」構造が大きく、特に20代女性の流出が目立っています。
- 地元で学び・働き・暮らす魅力を高めるには、高校段階からのキャリア教育、地元企業との接点づくり、奨学金返還支援や住宅支援などの総合設計が必要です。
- 行政としては、「若者が描くライフスタイル」と「松山で実現できる選択肢」のギャップを丁寧に埋める施策を継続することが、流出抑制と定着の鍵になります。
この記事の結論
松山市の大学進学流出は、「進学のための一時的な流出」ではなく、「都会志向と就職機会の差」による恒常的な転出超過として定着しており、放置できない構造課題です。
若者定着のためには、「進学前の情報提供・キャリア教育」「大学在学中の地元企業との接続」「卒業後のUターン・移住支援」を切れ目なくつなぐ政策設計が必要です。
特に、奨学金返還支援や住宅補助、リモートワーク環境の整備など、都市部と競合しうる「生活・キャリアのパッケージ」を示すことが、実務的には最も効果的なアプローチになります。
松山市ではなぜ大学進学による流出が止まらないのか?
結論から言うと、松山市の大学進学による流出が止まらない背景には、「県外大学進学」と「県外就職」の組み合わせが常態化している現状があります。
その根拠として、愛媛の若者について、県外大学へ進学した学生の約6割以上がUターン就職を希望しないという調査結果が示されており、進学と同時に将来の就職先も県外志向になりやすい構造が指摘されています。
この点から分かるのは、「進学したら戻らない」という前提で進路が選ばれがちであり、単に地元就職を勧めるだけでは流れを変えにくいということです。
松山市自身も、人口減少の要因として「進学や就職を契機とした若者の流出」を明示し、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で若者定住対策を重点分野として位置付けています。
一方で、愛媛県全体を見ると、20〜24歳の転出が特に目立ち、特に女性の県外流出が多いことが報道・統計で示されています。
都会への憧れ、仕事の選択肢の多さ、利便性の高さなどが理由として挙げられ、地元に残る・戻ることのメリットが相対的に弱く伝わっているのが現状です。
若者が松山市に戻らない主な理由は何か?
最も大事なのは、「なぜ戻らないのか」をデータと若者の本音から冷静に把握することです。
その理由として、県や市の調査・報道からは、主に次のような要因が見えてきます。
実務的には、これら一つひとつに対して政策的な打ち手を用意しない限り、「なんとなく都会に出て、そのまま戻らない」流れを変えることは難しいと言えます。
理由1:都会志向と生活利便性のギャップ
愛媛県の調査では、県内大学生が県外就職を希望する理由として、「都会での生活への憧れ」「利便性の高さ」が最も多く挙げられています。
大型商業施設、交通網、エンタメ、キャリア形成に役立つ副業やコミュニティなど、「仕事以外の時間の充実」を重視する傾向が強まっているのが特徴です。
この視点で見ると、給料水準だけでなく、ライフスタイル全体で都会と比較されたときに、松山での暮らしがどこまで魅力的に映っているかが問われていると言えます。
理由2:地元でのキャリア選択肢のイメージ不足
松山市内や愛媛県内にも多様な企業・産業が存在するものの、「どんな仕事があるのか」「どんなキャリアパスが描けるのか」の具体的なイメージが、若者に十分届いていないことが課題です。
市の「進学・就職に関するアンケート」でも、高校生・大学生の多くが県外就職も視野に入れており、職種・収入・やりがいを総合して選択しようとしている様子がうかがえます。
にもかかわらず、地元企業の情報やインターンの機会が限られると、「地元に残る=選択肢が狭い」というイメージになりやすく、結果として県外志向を強めることにつながります。
理由3:Uターン・Iターンの「決め手」が弱い
松山市は、人口減少対策の一環として、移住・定住支援や子育て支援に取り組んでいますが、若者の立場から見ると「戻る決め手」がまだ弱いという現実があります。
移住者向けには、住宅取得費用を補助する「移住者定着支援事業補助金」など、暮らし面の支援策が始まっていますが、進学・就職世代に向けた直接的な奨学金支援やキャリア支援は、今後さらに強化が必要です。
この点から分かるのは、「戻ってきたらこれだけの支援とメリットがある」というメッセージを、もっと具体的に、早い段階から届ける必要があるということです。
松山市は若者定着のために何を強化すべきか?
結論から言うと、松山市が若者定着を強化するには、「進学前〜在学中〜就職・定住」までのライフコースを一つのストーリーとして捉え、切れ目ない支援をパッケージで設計することが不可欠です。
その理由は、若者の進路選択が一度きりではなく、高校・大学・就職・転職・結婚・子育てといったライフイベントごとに変化し、その都度「どこで暮らすか」が見直されるからです。
判断基準として重要なのは、「いつ・どのタイミングで・どんな支援や情報を届ければ、松山を選択肢として真剣に検討してもらえるか」を具体的に設計することです。
高校段階:進学・就職の選択肢をどう見せるか?
高校生にとっての結論は、「松山に残る」「県外に出る」の二択ではなく、「どこで学び、どこで働くか」を柔軟に描けることが重要です。
そのために行政ができることとして、次のような施策が考えられます。
- 地元企業・大学・専門学校が参加するキャリアイベントの定期開催
- 高校でのキャリア教育授業に、市内企業や大学・行政職員が参画
- 県外進学を選ぶ生徒にも、「将来Uターンする場合の選択肢」をまとめた情報提供
松山市のアンケートでも、高校生の多くが「松山市内に居住しながら進学・就職している」実態があり、まずは地元に多様な選択肢があることを丁寧に見せることが第一歩になります。
大学在学中:松山とどうつながり続けてもらうか?
大学在学中の学生にとって、結論として重要なのは、「松山で働く・暮らすことを具体的にイメージできる接点」があるかどうかです。
具体例として、次のような取り組みが効果的です。
- 長期インターンやプロジェクト型インターンを通じた地元企業との接点づくり
- 地元企業と大学の共同研究・共同プロジェクトの推進
- 夏休み・春休みに合わせた「U・Iターン就活フェア」や職場見学ツアー
松山市内の大学では、就職率が高く、学生の希望に沿った進路選択が実現しているという実績もあり、こうしたキャリア支援と市内企業との連携をさらに強化することで、「松山で学び、そのまま松山で働く」ルートを太くできます。
卒業・就職段階:Uターン・定住の決め手をどう作るか?
卒業・就職のタイミングでは、生活コスト、住まい、収入、子育て環境など、より現実的な条件が判断材料になります。
そこで行政が打つべき手として、次のような支援が考えられます。
- Uターン就職者への奨学金返還支援(一定期間市内就業を条件に補助)
- 若者・子育て世帯向けの住宅支援(家賃補助・住宅取得補助の拡充)
- リモートワーク・副業を含む多様な働き方ができるワーケーション・コワーキング環境整備
松山市は既に、子育て世帯の移住者を対象に住宅取得費を補助する「移住者定着支援事業補助金」をスタートさせており、こうした暮らしの支援を、進学・就職世代にも広げていくことが次のステップになります。
よくある質問
Q1. 松山市で大学進学による若者流出が続く主な理由は何ですか?
A1. 県外大学進学後に都会での就職を選ぶ学生が多く、都会志向や職業選択肢の差が、Uターンを選ばない大きな要因になっています。
Q2. 特に流出が目立つ世代や属性はありますか?
A2. 愛媛県全体では20〜24歳の転出が多く、とくに20代女性が就職をきっかけに県外に出てそのまま戻らない傾向が強いと報告されています。
Q3. 松山市は若者定住のためにどんな対策をしていますか?
A3. 人口減少対策の総合戦略に若者定住を位置付け、移住者向け住宅補助や子育て支援など、暮らしと仕事の両面から定着を支える施策を進めています。
Q4. 高校生への支援はどの段階から行うべきですか?
A4. 高校段階からキャリア教育や地元企業・大学との接点づくりを行い、「どこで学び、どこで働くか」を早い段階から具体的に考えられるよう支援することが重要です。
Q5. 大学在学中の学生に対しては、どんな施策が効果的ですか?
A5. 長期インターン、共同プロジェクト、U・Iターン就活フェアなどを通じて地元企業とつながる機会を増やし、松山で働く具体的なイメージを持ってもらうことが有効です。
Q6. Uターンを増やすために有効な支援は何ですか?
A6. 奨学金返還支援や住宅補助、子育て環境の整備など、就職後の生活コストや将来不安を軽減する支援が、Uターンの後押しとして効果的と提案されています。
Q7. 移住者定着支援事業補助金は若者流出対策とどう関係しますか?
A7. 子育て世帯向け住宅取得補助は、Uターン・Iターン後の暮らしを支える施策であり、進学・就職で一度外に出た若者が「戻って住み続ける」決め手の一つになりえます。
Q8. 若者流出対策は雇用政策だけ強化すれば足りますか?
A8. 雇用だけでなく、生活利便性やコミュニティ、子育て環境などライフスタイル全体の魅力が問われているため、総合的なまちづくりとして取り組む必要があります。
Q9. 行政として最初に取り組むべき優先課題は何ですか?
A9. 進学・就職に関するデータと若者の意識調査を基盤に、「どこで離れているか」を見える化し、進学前〜在学中〜就職後までの支援ラインを再設計することが優先課題です。
まとめ
こうした条件を踏まえると、松山市の大学進学による若者流出を抑えるには、「進学先の問題」ではなく「学びと就職・暮らしをどう地域でつなぐか」という視点で政策を組み直すことが重要だと言えます。
判断基準として重要なのは、若者が進学前から「松山でどんなキャリアと暮らしを描けるか」を具体的に想像できるかどうかであり、そのための情報提供・キャリア支援・生活支援を一体で設計できるかどうかです。
中野たいせいの想い
中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。
「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。