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松山市で若者流出を止めるには?地元定着に必要な環境を考える
松山市の若者流出はなぜ続く?進学・就職・暮らしの課題を解説
【この記事のポイント】
- 松山市は県内では若者の受け皿ですが、県外、とくに東京圏・関西圏への流出は続いており、「出た若者が戻りにくい構造」が残っています。
- 高校生・大学生調査では、「愛媛に住み続けたい」は約1割、「いったん出て戻りたい」が4割前後と、“一度外に出て考えたい”層が多数派になっています。
- 正直なところ、本当の課題は「出ていくこと」ではなく、「戻りたいときに、仕事・住まい・コミュニティの窓口がちゃんと用意されていないこと」です。
今日のおさらい:要点3つ
- 顕在ニーズ:松山市から若者がなぜ出ていくのか、データと現場の感覚で知りたいということです。
- 潜在ニーズ:自分や子どもが「松山を離れる・戻る」タイミングで、どんな選択肢があるのか不安だということです。
- 行動ニーズ:地元に残るか、出てから戻るか、どちらにせよ「後悔しにくい選び方」をしたいということです。
この記事の結論
一言で言うと、「松山市の若者流出は“自然な一度外に出る動き”+“戻る理由の弱さ”が重なっている状態」です。
最も重要なのは、「出る若者」を止めるのではなく、「出た若者が“松山に戻りたい/松山とつながり続けたい”と思ったときに、すぐ動ける仕組み」を整えることです。
失敗しないためには、行政・企業・市民がそれぞれ、「仕事」「暮らし」「遊び・学び」の3つの軸で“若者目線の具体策”を積み上げることで、「なんとなく出たまま音信不通」を減らすことが欠かせません。
松山市の若者流出は、なぜ続くのか
データで見る:出るのは当たり前、戻り方が見えない
地域経済のシンクタンクが行った調査では、「愛媛県にずっと住み続けたい」と考える高校生は約1割にとどまり、「一度県外に出た後、愛媛に戻りたい」が約4割という結果が出ています。
「愛媛では暮らしたくない」と答えた理由としては、
- 都会の生活に興味がある(54.2%)。
- 魅力的なイベントや遊び場が少ない(43.9%)。
- 愛媛での生活は仕事や文化が乏しい(30.7%)。
が挙げられました。
一方、就職希望では県内就職を希望する高校生が約半数いるにもかかわらず、「県内企業を前もって知っている」と答えた生徒は少数にとどまり、「県内企業を全く知らない」と答えた層も多いと報告されています。
つまり、
- 「一度出てみたい」気持ちは強い。
- 「戻ってきたい」気持ちもそこそこある。
- しかし、「戻って働く先・暮らし方」が具体的に見えていない。
という“宙ぶらりん”な状態です。
実体験①:就活サイトで「松山の求人」を探したときの虚しさ
松山出身の友人が、東京の大学で就活していたとき、「実は最初、地元に戻る前提でエントリーを探してたんよ」と話してくれました。
大手就活サイトで「松山」と検索すると、ヒット件数は少なくはない。けれど、
- 聞いたことのない中小企業の名前がずらっと並ぶ。
- 仕事内容の説明も、「なんとなくピンとこない」言葉が多い。
- 給与やキャリアパスのイメージがつかない。
結果として、「東京の企業の方が仕事内容がイメージしやすくて、気づいたらそっちばかり受けていた」と言います。
「正直なところ、松山の企業が魅力ないわけじゃないと思う。ただ、画面の上で勝負すると、どうしても東京の会社の方が“分かりやすく”見えた」と。あの言葉が、ずっと頭に残っています。
進学と就職:出ていくタイミングが重なっている
愛媛県の人口ビジョンによると、
- 20〜24歳の若者は、大学・専門学校への進学で県外に出る。
- 県外から愛媛の大学に来た学生は、卒業後に地元へ戻る。
- 県内から県外に出た若者は、そのまま県外で就職して戻ってこないケースが多い。
ため、20代前半は転出超過が顕著になっています。
地域経済の調査では、2017年3月卒業の県内高校生の進路を見ると、進学に伴う流出は約4,000人、就職も含めると約4,600人にのぼった一方、県外からの流入は2,000人程度にとどまったと報告されています。
さらに、愛媛県全体では2024〜2026年にかけて3年連続で転出超過が増加し、令和6年の転出超過は5,000人余りと報じられています。松山市は県内の中心ですが、この流れの影響を強く受けるポジションです。
正直なところ、「松山だけで若者流出を止める」のは構造的に難しいです。出ていくのは自然な動きであり、「戻るきっかけ」をどれだけ用意できるかの勝負です。
暮らしと遊び:「退屈ではないけれど、ワクワクも弱い」
高校生・若者の声として、
- 「都会の生活に興味がある」
- 「魅力的なイベントや遊び場が少ない」
という理由で地元を離れたいと考える割合が高いことは、先ほど触れた通りです。
よくあるのが、
- 大学で初めて東京や大阪の街を歩いたとき、「夜でも人がたくさんいて、イベントがいつも何かしらある」世界に衝撃を受ける。
- 松山に帰省したとき、「暮らすにはちょうどいい」「でも20代の今にとっては少し物足りない」と感じる。
という感覚のギャップです。
実は、これは単なる「遊び場」の問題ではなく、「自分の可能性を試せる場があるかどうか」の問題でもあります。
若者流出を“悪”にしないためにできること
戦略1:「出る前提」でUターンのルートを先に作っておく
松山市の説明では、
- 企業誘致に積極的に取り組み、累計約120社に奨励金支援。
- 設備投資1,200億円超、新規雇用約6,600人を創出。
- 最近はICT・Webデザインなど若者に魅力的な企業の誘致に成功し、Uターンや地元就職の事例が増えている。
と説明されています。
また、従業員の一定率以上の賃上げを行った中小企業に、従業員1人当たり5万円・最大50万円の奨励金を給付する制度も設け、待遇改善を後押ししています。
正直なところ、「仕事がないから若者が出ていく」という単純な話ではなく、「仕事はあるが、その情報が若者に届いていない/魅力が伝わっていない」という部分が大きいです。
現場の声②:「実は、東京の子から応募が来たんですよ」
松山市内のIT関連企業の社長さんが、「実は、うちの会社に東京の学生から直接応募が来たんですよ」と嬉しそうに話していたことがあります。
きっかけは、オンラインの合同企業説明会で、東京の大学生向けに「地方でもこんな仕事ができる」と発信したこと。
「正直、最初は“どうせ誰も来ないだろう”と思ってたんです。でも、話を聞いた学生が“松山って正直なところ知らなかったけど、暮らしやすそうだし、仕事も面白そうですね”と言ってくれて…ああ、伝え方次第なんだなって実感しました」と笑っていました。
このような「出る前提で、戻る口を先に用意しておく」動きが、地味ですが効いてきます。
戦略2:“松山で働く”のイメージを、10代のうちに具体化する
愛媛県の調査では、県内に就職を希望する高校生は約半数いる一方で、「県内企業のことをよく知らない」という回答が多数を占めています。
よくあるのが、
- 授業や進路指導は「進学」にフォーカスされがち。
- 地元企業の名前は知っていても、「そこで働く自分の姿」がイメージできない。
- 結果として、東京・大阪の有名企業の方が“分かりやすくかっこよく”見えてしまう。
というパターンです。
松山市まち・ひと・しごと創生人口ビジョンでも、
- 若者の希望実現に向けた就職支援。
- 大学等と連携した若者の流入・定着促進。
- シビックプライドの向上。
が重要な柱として掲げられています。
「地元で働く」のイメージを具体化するには、
- 高校・大学のうちに、地元企業でのインターンやアルバイト経験を持つ。
- 社会人の先輩(地元・県外両方)の話を聞く機会を増やす。
- 「松山の企業で、東京と同じレベルの仕事をしている人」の姿を見える化する。
といった手触りのある接点が必要です。
戦略3:「暮らし・遊び・学び」の“余白”を増やす
若者が愛媛を離れる理由として挙げた「都会の生活に興味」「イベントや遊び場の不足」という声は、単に娯楽の話ではありません。
- 興味のある分野のコミュニティがあるか。
- 自分のスキルや趣味を試せる場があるか。
- 新しい出会いや刺激が定期的に得られるか。
これらが、「どこで生きるか」の判断軸になっています。
松山市でも、中心市街地のにぎわい創出やイベント、スタートアップ支援などが進んでいますが、「若者から見てどれだけ“自分ごと”に感じられるか」がポイントです。
実は、「地元に残る若者」よりも、「地元に戻るかもしれない若者」にとって、
- 「帰省したとき、ちょっと面白いイベントがある」。
- 「オンラインで松山のコミュニティに出入りできる」。
- 「東京にいながら、松山の仕事やプロジェクトに一部関われる」。
といった“ゆるいつながり”があるかどうかが大きいです。これが、30歳前後でのUターン・二拠点生活の決断を後押しします。
よくある質問
Q1. 松山市の若者流出は、他の地方都市と比べて深刻なんですか?
A1. 愛媛県全体では転出超過が続いており、四国で最大の転出超過を記録していますが、松山市は県内の受け皿でもあります。「特別に悪い」というより、「全国的な構造の中にいる地方中枢都市」という位置付けです。
Q2. 若者が出ていくことは、悪いことなのでしょうか?
A2. 松山市の議員コラムでも、「進学・就職・新しいチャレンジで地元を離れるのは自然な現象」とされ、本当の問題は「戻りたくなったときの受け皿が弱いこと」と指摘されています。結論として、「出ること」より「戻れない構造」の方が課題です。
Q3. 松山市は、若者の定着にどんなことをしていますか?
A3. 企業誘致による雇用創出(累計約120社・設備投資1,200億円・新規雇用約6,600人)、ICT企業など若者向け業種の誘致、賃上げ企業への奨励金などを進めています。また、人口ビジョンや総合戦略で就職支援・移住定住・シビックプライド向上を柱としています。
Q4. 子どもには「松山に残ってほしい」と思うのは、親のエゴでしょうか?
A4. 気持ちとしては自然ですが、進学や就職で一度外に出ること自体は、視野や経験を広げる意味でプラスです。むしろ、「出ても戻れる」「どこにいても松山と関われる」選択肢を一緒に考える方が、長い目で見ると親子双方にとって良いケースが多いです。
Q5. 若者が戻ってくるには、何が一番大事ですか?
A5. 調査や現場の声からは、「魅力的な仕事」と「暮らしやすさ」が軸になります。具体的には、仕事内容・給与・キャリアパスが見える企業と、住まい・交通・医療・子育てのバランスが取れた生活環境です。
Q6. 地元の大人として、何ができますか?
A6. ケースによりますが、「自分の仕事のリアル」を高校生・大学生に話す場に出る、インターンや職場見学を受け入れる、プロジェクト単位で若者と一緒に何かをやる——といった関わりが効果的です。若者にとっての“身近なロールモデル”が増えるほど、松山で生きるイメージが具体的になります。
Q7. 若者本人として、今何を意識しておけばいいですか?
A7. 出る/残るにかかわらず、「自分はどんな働き方・暮らし方をしたいのか」を言葉にしておくことです。そのうえで、「松山でそれを実現するルート」「東京などで実現するルート」の両方を調べておくと、どちらを選んでも後悔しにくくなります。
まとめ
松山市の若者流出は、進学・就職・チャレンジのために一度外に出る“自然な動き”と、「戻り方・関わり方が分かりにくい構造」が重なって続いています。
市は企業誘致・賃上げ支援・就職支援・移住定住策などを通じて「若者の地元定着」に力を入れており、ICT関連など若者に刺さる業種の誘致や、人口ビジョン・総合戦略を通じた長期的な取組も進んでいます。
こういう人は今すぐ相談すべきです。松山を出るか残るか迷っている高校生・大学生、Uターン・Iターンを検討している20〜30代、そして地元企業や行政で若者支援に関わっている方です。ジョブカフェや愛work、移住相談窓口、企業の人事担当などに「自分のやりたいこと」をぶつけてみるだけでも、見える選択肢は増えます。
この状態ならまだ間に合うと言えるのは、「進路を完全に決める前」、そして「地元と完全に縁を切る前」の今の段階です。迷っているなら、「松山に残るルート」「一度出て戻るルート」「ずっと外で生きるルート」をそれぞれ一度紙に書き出し、メリット・デメリットを自分の言葉で整理してみるのがおすすめです。
中野たいせいの想い
中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。
「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。