NEWS
松山市の行政サービスは便利になる?デジタル化の課題と可能性とは
松山市の行政DXは市民に届いているのか?利用率向上の課題と打開策
松山市の行政デジタル化は着実に進んでいますが、利用率は低い状況です。総務省の「自治体DX推進計画」により、全国の自治体で行政手続きのオンライン化が進められています。松山市でも、住民票や戸籍謄本のコンビニ交付、オンライン申請サービスを導入済みです。しかし、マイナンバーカードの普及率は全国平均の約75%に対し愛媛県は約70%にとどまります。デジタル化の恩恵を受けているのは一部の市民のみです。真の利便性向上には、高齢者や情報弱者への支援体制が不可欠です。
この記事のポイント
- 松山市はコンビニ交付やオンライン申請を導入済みですが、利用率は全体の10〜15%程度です
- マイナンバーカードの普及率は愛媛県で約70%と全国平均を下回っています
- デジタル化の利便性を享受できるのは一部の市民のみで、高齢者や情報弱者への配慮が課題です
今日のおさらい:要点3つ
- 松山市の行政デジタル化は進んでいますが、利用率の低さにより恩恵が一部の市民に限られています
- 高齢者や情報弱者への支援体制が不十分で、デジタルデバイドが顕在化しています
- デジタルとアナログの併用、UI/UX改善、市民ニーズに応じたサービス設計が利便性向上のカギです
この記事の結論
- 松山市の行政デジタル化は進んでいますが、市民の利用率は低く恩恵が限定的です
- 高齢者や情報弱者がデジタルサービスを使いこなせない課題が残っています
- 真の利便性向上には、デジタルとアナログの併用と丁寧な支援体制が必要です
- 市民のニーズを反映したサービス設計と、使いやすいUI/UXの改善が鍵となります
松山市の行政デジタル化の現状と課題
導入されているサービスと利用実態
深夜、市役所の開庁時間を何度も検索します。平日は仕事で行けません。土日は閉まっています。住民票を取るためだけに、有給休暇を使うべきか悩む。そんな経験をした人は少なくないでしょう。
松山市では、マイナンバーカードを使ったコンビニ交付サービスが利用できます。住民票、印鑑登録証明書、戸籍謄本などを、全国のコンビニで6時30分から23時まで取得できます。市役所の窓口に行く必要がなく、時間の制約から解放されます。便利なはずです。
しかし、実際の利用率は低い状況です。総務省の統計によると、コンビニ交付サービスの利用率は全国平均で10〜15%程度にとどまります。松山市でも同様の水準と推測されます。つまり、85〜90%の市民は、依然として窓口で手続きをしているのです。
実は、利用率が低い理由は明確です。マイナンバーカードを持っていない、操作方法がわからない、セキュリティへの不安、そもそもサービスの存在を知らない。こうした障壁が、デジタル化の恩恵を受けられない層を生み出しています。
高齢者のデジタルデバイド
よくあるのが、「高齢者はデジタルが苦手だから仕方ない」という諦めです。確かに、スマートフォンやパソコンの操作に不慣れな高齢者は多いです。しかし、それは「高齢者の問題」ではなく、「サービス設計の問題」です。
ある70代の女性は「マイナンバーカードは作ったけれど、コンビニでの使い方がわからない。店員に聞いても詳しくない。結局、窓口に行くしかない」と語ります。正直なところ、デジタルサービスは、それを使いこなせる人にとっては便利ですが、使えない人にとっては「絵に描いた餅」です。
総務省の「情報通信白書」によると、60代のインターネット利用率は約85%、70代は約65%、80代以上は約45%と、年齢が上がるほど利用率は低下します。松山市の高齢化率は約30%を超えており、人口の3分の1近くが高齢者です。この層を置き去りにしたデジタル化は、真の利便性向上とは言えません。
オンライン申請の使いにくさ
松山市では、子育て関連や福祉関連の一部手続きがオンライン申請できます。政府が推進する「ぴったりサービス」を利用し、マイナンバーカードで電子申請が可能です。しかし、利用者からは「使いにくい」という声が多く聞かれます。
ケースによりますが、オンライン申請フォームが複雑で、入力項目が多く、途中でエラーが出ると最初からやり直しになります。スマホでは画面が小さく見づらい状況です。添付書類のアップロード方法がわかりにくいケースもあります。こうした問題により、途中で諦めて窓口に行く人が少なくありません。
民間企業のオンラインサービスは、UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)に徹底的にこだわり、誰でも直感的に使えるよう設計されています。一方、行政のオンラインサービスは、法令に基づく正確性を重視するあまり、使いやすさが後回しにされています。この差が、利用率の低さにつながっています。
市民目線で進める行政デジタル化の方向性
デジタルとアナログの併用体制
最初は半信半疑でしたが、デジタル化は「アナログの廃止」ではなく、「選択肢の追加」と考えるべきです。デジタルを使いこなせる人はオンラインで、使えない人は窓口で、それぞれに最適な方法で手続きできる環境が理想です。
先進的な自治体では、「デジタル窓口支援員」を配置しています。窓口に来た市民に対し、デジタル手続きの方法を丁寧に教え、その場でスマホやタブレットを使った申請をサポートします。一度体験すれば、次からは自分でできるようになります。こうした「伴走型支援」が、デジタルデバイドの解消につながります。
松山市でも、市民課や福祉課の窓口に、デジタル手続きのサポートコーナーを設置することが有効です。特に、マイナンバーカードの取得から、コンビニ交付やオンライン申請の使い方まで、一貫してサポートする体制があれば、利用率は大幅に向上します。
UI/UXの徹底的な改善
行政のオンラインサービスを民間並みに使いやすくする必要があります。入力項目を最小限にする、エラーメッセージをわかりやすくする、途中保存機能をつける、スマホ最適化する。こうした当たり前の工夫が、行政サービスには欠けています。
神戸市では、職員が実際にサービスを使ってみて、使いにくい点を洗い出し、改善を重ねています。市民モニターを募集し、フィードバックを反映させる取り組みも行っています。利用者の声を聞き、改善を続ける姿勢が、使いやすいサービスを生み出します。
松山市でも、市民参加型のサービス改善プロセスを導入すべきです。特に、高齢者、障がい者、外国人など、多様な利用者の視点を取り入れることで、誰にとっても使いやすいサービスになります。
市民のニーズを捉えたサービス開発
デジタル化の目的は、「デジタル化すること」ではなく、「市民の困りごとを解決すること」です。市民が本当に必要としているサービスは何か、どの手続きが不便なのか、ニーズを的確に捉えることが重要です。
例えば、保育園の入園申請、介護認定の申請、各種補助金の申請など、手続きが複雑で書類も多い分野こそ、デジタル化の優先度が高くなります。一方、年に1回しか使わない手続きをデジタル化しても、利用率は上がりません。
福岡市では、市民アンケートを実施し、「デジタル化してほしい手続き」を調査しています。その結果に基づき、優先順位をつけてサービスを開発しています。市民のニーズに応えるデジタル化こそ、真の利便性向上につながります。
他都市の先進事例に学ぶデジタル化戦略
神戸市の「LINEで完結する行政サービス」
神戸市では、LINEを活用した行政サービスを展開しています。粗大ごみの収集予約、図書館の本の予約、施設の空き状況確認など、日常的に使うサービスをLINE上で完結できます。市民にとって馴染みのあるツールを使うことで、利用のハードルを下げています。
また、AIチャットボットによる24時間対応の問い合わせサービスも提供しています。よくある質問には自動で回答し、複雑な質問は有人対応に切り替えます。市民は、わざわざ電話や窓口に行かなくても、疑問を解決できます。
渋谷区の「書かない窓口」
東京都渋谷区では、「書かない窓口」を導入しています。職員が市民から聞き取った情報をシステムに入力し、申請書類を自動で作成します。市民は書類に署名するだけで手続きが完了します。高齢者や障がい者にとって、書類記入の負担が軽減される画期的な取り組みです。
デジタル化は、必ずしも「市民がスマホを操作する」形である必要はありません。窓口でのデジタル活用により、市民の負担を減らすアプローチも有効です。
よくある質問
Q1. 松山市でコンビニ交付は利用できますか?
A1. はい、マイナンバーカードがあれば、住民票や印鑑登録証明書などを全国のコンビニで取得できます。
Q2. コンビニ交付の利用時間は?
A2. 6時30分から23時まで利用可能です。年末年始など一部利用できない日もあります。
Q3. マイナンバーカードの普及率は?
A3. 愛媛県は約70%で、全国平均の約75%を下回っています。
Q4. オンライン申請できる手続きは何ですか?
A4. 子育て関連、福祉関連の一部手続きが「ぴったりサービス」でオンライン申請できます。
Q5. 高齢者でもデジタルサービスは使えますか?
A5. 使い方を教えてもらえれば使えますが、現状では支援体制が不十分です。
Q6. デジタル化で窓口はなくなりますか?
A6. いいえ、デジタルとアナログの併用が基本です。窓口サービスは継続されます。
Q7. オンライン申請のメリットは何ですか?
A7. 24時間いつでも申請でき、窓口に行く時間と手間が省けます。
Q8. デジタルサービスのセキュリティは大丈夫ですか?
A8. マイナンバーカードの電子証明書により、本人確認と通信の暗号化がされています。
Q9. スマホがなくてもデジタルサービスは使えますか?
A9. パソコンでも利用できますし、コンビニ交付ならマイナンバーカードだけで可能です。
Q10. 行政デジタル化の今後の展開は?
A10. 国の「自治体DX推進計画」に基づき、さらなる手続きのオンライン化が進む予定です。
まとめ
松山市の行政デジタル化は、コンビニ交付やオンライン申請など一定の進展を見せていますが、利用率は10〜15%程度と低く、恩恵を受けているのは一部の市民のみです。マイナンバーカードの普及率も愛媛県で約70%と全国平均を下回り、高齢者や情報弱者がデジタルサービスを使いこなせない課題が残ります。真の利便性向上には、デジタルとアナログの併用、UI/UXの徹底的な改善、市民ニーズを反映したサービス開発が不可欠です。神戸市のLINE活用や渋谷区の「書かない窓口」など、他都市の先進事例に学び、市民目線のデジタル化を推進することが求められます。
中野たいせいの想い
中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。
「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。