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松山市の農業支援は十分なのか?地域産業を守る仕組みを考える
松山市の農業を持続させるには?担い手不足と収益化の課題を解説
【この記事のポイント】
- 松山市は県都でありながら、みかん・野菜・米・畜産など多様な農業が根付くエリアで、「都市近郊農業」のポテンシャルは高いです。
- 一方で、高齢化と兼業化の進行、資材価格や燃料費の高騰により、「規模を縮めるか、やめるか」と悩む農家が静かに増えています。
- 正直なところ、「補助金があるか」より、「誰と組むか・どこに売るか・何年続けるか」を考えられる農家ほど、次の10年を乗り切りやすいです。
今日のおさらい:要点3つ
- 顕在ニーズ:松山市で、農業支援はどの程度整っているのか、全体像を知りたいということです。
- 潜在ニーズ:専業・兼業を問わず、「このまま続けて家族を食べさせていけるのか」という不安があるということです。
- 行動ニーズ:今の経営規模・年齢・作目を踏まえて、「投資するか、縮小するか、やめるか」の判断材料が欲しいということです。
この記事の結論
一言で言うと、「松山市の農業支援は“量”はありますが、“使い切る前提”で動いている農家はまだ少ない」ということです。
最も重要なのは、「補助金に頼る」のではなく、「補助金をきっかけに販路・技術・設備の三つを組み替える」視点で支援策を見ることです。
失敗しないためには、「1年で結果を出す」発想ではなく、「3〜5年単位で収支と負担がどう変わるか」を数字で追いながら、段階的に打ち手を選ぶことが欠かせません。
松山市の農業が直面している現実
高齢化と担い手不足:頭では分かっていても、実感はある日突然来る
愛媛全体と同じように、松山市の農業従事者も平均年齢は60代後半〜70代というケースが珍しくありません。
- 「65歳まではやる」と言っていた親が、70歳を超えても現場の中心に立っている。
- 子ども世代は市内や県外で別の仕事に就いていて、「手伝い」はできても「継ぐ」とまでは決めきれていない。
- 農地は点在し、機械は古くなり、でも「やめる」とは口に出せない。
正直なところ、この状態で時間だけが過ぎると、ある年の夏や台風シーズンに「身体の限界」の方が先に来ます。
実体験①:「今年の夏で、なんとなく限界を感じた」という一言
松山市近郊で柑橘をやっている60代後半の農家さんから、「実はさ、去年の夏でなんとなく限界を感じたんよ」という話を聞いたことがあります。
連日の猛暑で、午前中の作業だけでも汗が止まらず、昼過ぎには頭がぼーっとする。収穫量が落ちたわけではないけれど、「このペースをあと5年続けるのか」と思った瞬間、思わず脚が止まったそうです。
「そのとき初めて、“誰に何をどこまで引き継ぐか”を、ちゃんと考えんといかんと思った」と言うその表情から、“いつか考える”と思って先送りにしてきたテーマが、現実として目の前に現れた戸惑いが伝わってきました。
コスト高と価格の不安定さ:収量が良くても、手元に残らない
ここ数年、肥料・農薬・燃料・資材の価格が上がり続けています。
- 肥料は品目によって2〜3割高くなった感覚。
- ハウスのビニール張り替えや設備更新も、以前より見積りが重く感じる。
- 軽トラのガソリン代や電気料金もじわじわ効いてくる。
一方で、出荷価格は天候や市場の動向で大きく変動します。収量が良かった年に限って価格が崩れ、「頑張っても手元にあまり残らない」と感じる農家さんも少なくありません。
実は、「去年より収量も売上も増えたのに、手元に残る現金はほとんど変わらない」という声を、松山市周辺で何度か聞いたことがあります。数字だけ見ると“成長”なのに、体感としては“疲れが増えただけ”。このギャップが、モチベーションを削ります。
兼業農家と“半農半X”のリアル:時間の細切れと家族の負担
松山市のような都市近郊では、
- 平日は会社勤め、週末や早朝・夕方に農作業。
- 夫婦のどちらかが別の仕事を持ちながら、農業所得をプラスアルファにする。
- 親世代が主として農業をし、子ども世代は繁忙期だけ手伝う。
という“半農半X”のスタイルが多く見られます。
よくあるのが、「カレンダーが真っ黒」になる状態です。
- 会社のシフト。
- 子どもの行事。
- 田植え・収穫・出荷のスケジュール。
これらを全部詰め込むうちに、ふとした夜にリビングでスマホを握ったまま寝落ちしてしまう。目が覚めたとき、「いつまでこれを続けるんだろう」と小さくため息が漏れる——そんな光景が浮かびます。
松山市の農業支援は、どこまで役に立つのか
ここからは、一般的な地方自治体の農業支援の構造と、松山市規模の都市でよく見られる施策をベースにしています。具体的な金額や要件は年度で変わるため、最終的には市の農業関連部署・JA・普及指導員などに最新情報を確認する前提で読んでください。
設備投資・省力化への補助:入口としては「使わない方が損」
多くの自治体では、
- 施設・機械等導入補助:トラクターや管理機、選果機、ハウスなど導入時の補助。
- 省力化・スマート農業支援:かん水や施肥の自動化、ドローン、防除機の導入支援。
- 新規就農支援:新規参入者への所得補助や研修制度。
などが用意されています。
メリット
- 初期投資を抑えつつ、「人手不足」を設備でカバーしやすくなる。
- 体力に頼らない作業体系へ移行しやすい。
デメリット
- 補助を使っても自己負担が残り、ローンを抱えるプレッシャーが発生する。
- 使いこなすまでに時間と学習コストがかかる。
よくあるのが、「補助金があるから」と勢いで機械を入れたものの、
- 実際の作業量に合っていない。
- 誰もメンテナンス方法を把握していない。
- 借入返済が想定以上に重かった。
という“補助金疲れ”パターンです。
正直なところ、設備導入系の支援は、「何を買うか」より前に「5年後の自分の作業時間と面積をどうしたいか」を、紙に書いてから相談に行くのが安全です。
収益化・販路拡大支援:加工・直販・輸出などのメニュー
松山市クラスの自治体では、
- 6次産業化支援:加工品開発・パッケージ・マーケティングの支援。
- 直販・マルシェ出店支援:市内イベントや道の駅での販売機会の提供。
- 観光と連携した農業(観光農園・農泊)のサポート。
といった「売り方」を支援するメニューも増えています。
メリット
- 単価アップやブランド化につながる可能性。
- 消費者の顔が見えることで、やりがいが増える。
デメリット
- 加工や直販は「畑とは別の仕事」が増える。
- 衛生管理や法規制(表示・許認可)への対応が必要。
実は、「みかんを作るのが得意な人」が、「ジャムやジュース作り・パッケージデザイン・SNS発信まで全部やる」のは、相当ハードルが高いです。ここで、
- JAや加工場との役割分担。
- デザイナー・マーケターとの協業。
- 家族や地域の人を巻き込んだチームづくり。
ができるかどうかで、支援策の活かし方が変わります。
実体験②:ラベルを変えたら、売り先の会話が変わった
ある柑橘農家さんが、「実は、補助金で機械を入れたんじゃなくて、ラベルデザインにお金をかけたのが一番効いた」と話してくれたことがあります。
JAの共選出荷と並行して、小規模にジュースを作って直販していたところ、デザイナーに依頼してラベルを一新。価格は1本数百円上がったにもかかわらず、「贈答用に」とまとめ買いする人が増え、結果として生産量は同じでも手元に残る額が増えたそうです。
「正直、最初は“ラベルにそんなに出す意味あるんか”って半信半疑だったけどね」と苦笑いしながらも、「売り先での会話が変わった」のが一番大きかったと振り返っていました。
担い手支援・集落営農:個人戦から“ゆるいチーム戦”へ
担い手不足に対し、
- 集落営農の組織化・法人化の支援。
- 規模拡大を目指す若手への農地集積サポート。
- 農福連携(障がい者や高齢者の就労とセットにする)などの取組。
も各地で進んでいます。
メリット
- 作業を分担できる。
- 機械や施設を共同利用でき、投資負担を減らせる。
デメリット
- 人間関係の調整や意思決定に時間がかかる。
- 「誰がどれだけ働いているか」の見えづらさが不公平感につながりやすい。
よくあるのが、「紙の上では良いスキーム」でも、
- 話し合いの場が増えすぎて疲弊する。
- 一部の人に負担が集中し、結局個人戦に戻る。
というパターンです。
正直なところ、「がっつり法人化」だけが答えではなく、「作業の一部だけ共同」「機械だけ共同購入」といった“緩やかな連携”の方がうまく回る地域も多いです。
よくある質問
Q1. 松山市の農業支援は、他の都市と比べて手厚い方ですか?
A1. 市町村規模と農業の比重を考えると、メニュー数としては平均〜やや多いレベルと見てよいです。ただし、「使う人」と「そうでない人」の差が大きいのが実情です。
Q2. 今から新品の機械を入れるのは、やめた方がいいでしょうか?
A2. ケースによりますが、「面積・年齢・借入残高」を数字で書き出したうえで、5年後の作業量と返済をシミュレーションしてから決めるのがおすすめです。補助金ありきで決めると、後悔しやすい部分です。
Q3. 6次産業化や直販に興味があります。最初の一歩は何がいいですか?
A3. いきなり加工場を建てるのではなく、「小ロットで委託加工+ラベルを工夫して少量販売」くらいのスケールから始めるのが現実的です。反応を見ながら3年単位で広げていくと、リスクを抑えられます。
Q4. 子どもが継ぐかどうか分からないのに、投資していいのか迷います。
A4. 正直なところ、これは多くの農家が抱える葛藤です。「子どもが継いだ場合」「継がない場合」の二つのパターンで、投資の回収期間と出口(貸す・売る・やめる)を考えておくと、決断しやすくなります。
Q5. 農業を続けながら別の仕事もしたいのですが、現実的ですか?
A5. “半農半X”は現実的ですが、カレンダー管理と家族の理解が鍵になります。農繁期だけ別の仕事をセーブするなど、「年間を通したピーク調整」を意識しないと、どちらも中途半端になりがちです。
Q6. そもそも、やめるという選択肢はアリでしょうか?
A6. アリです。やめるにもコストと時間がかかるため、「体力が残っているうちに縮小・譲渡・貸し付け」を進める方が、精神的にも体力的にも楽です。ずるずる続ける方が、家族関係がこじれるケースもあります。
Q7. 今、最優先でやるべきことは何ですか?
A7. 一番コスパが良いのは、「自分の農業の数字を1枚の紙にまとめる」ことです。面積・収量・売上・経費・借入・家族の意向を書き出したうえで、支援窓口やJAに相談すると、雑談レベルが一気に“計画レベル”に変わります。
まとめ
松山市の農業は、多様な作目と都市近郊という立地の強みがある一方で、高齢化・担い手不足・コスト高・価格変動という「全国共通の波」を真正面から受けている状況です。
行政やJAの支援策は、「設備投資」「省力化」「6次産業化」「担い手支援」など一通り揃っているものの、それを「自分の10年計画」に落とし込んで使えている農家はまだ一部です。
こういう人は今すぐ相談すべきです。60代以上で規模をどうするか迷っている方、30〜40代で農業を続けるか別の仕事と組み合わせるか悩んでいる方、そして新しく就農を考えている方です。農業委員会や市の担当、JAの営農指導員などに「数字を書いた紙」を持って行くだけでも、一歩前に進みます。
この状態ならまだ間に合うと言えるのは、「体力があるうち」「借入が膨らみすぎる前」、そして「家族との話し合いの場がまだ持てるうち」です。迷っているなら、「続ける」「縮小する」「やめる」の3つのシナリオをざっくり書き出し、それぞれに必要な行動を一つずつ整理してみるのがおすすめです。
中野たいせいの想い
中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。
「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。