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松山城を未来へつなぐ|現存天守の魅力を活かした観光と保存
松山生まれの視点で考える、松山城という宝の活かし方
松山城は、松山という土地の背骨だ。松山で生まれ育ち、地域活性化と観光の現場を歩いてきた人間として、この城が持つ力を、もっと未来へつなげたいと本気で思っている。
松山城は、全国に数少ない現存十二天守のひとつ。江戸期の姿を今に伝える木造の天守が、市街地のすぐ真ん中、勝山の頂に立っている。ロープウェイやリフトで気軽に登れて、天守からは瀬戸内の海と街並みが一望できる。これほどの宝が暮らしのすぐそばにあるまちは、そう多くない。だからこそ、活かし方と守り方を、腰を据えて考えたい。
【この記事のポイント】
松山城の価値を「観光」と「保存」の両輪でとらえ、現存天守という強みをどう伸ばし、どう次の世代へ引き継ぐかを、地域の実務家の目線で整理する。批判ではなく、もっと良くするための前向きな提案として書く。
今日のおさらい:要点3つ
- 現存天守ならではの価値:松山城は数少ない現存十二天守のひとつ。本物の木造建築が持つ迫力は、復元では出しにくい松山ならではの魅力。
- 観光は「点」から「周遊」へ:城だけで完結させず、道後温泉や城下のまち歩きとつなぎ、滞在を楽しくする発想が大切。
- 保存は日常の積み重ね:木造建築は手入れを続けてこそ残る。守る営みそのものを、まちの誇りとして支えていきたい。
この記事の結論
松山城は「観光資源」であると同時に「守り続けるべき文化財」でもある。この二つは対立しない。丁寧に守るからこそ本物の価値が保たれ、その価値が人を惹きつける。観光と保存を切り離さず、両輪で回していくことが、松山城を未来へつなぐ一番の近道だと考えている。
現存天守の魅力を、もっと伝わる形で活かす
「本物であること」の強さを前面に
松山城の最大の強みは、天守が復元ではなく現存であることだ。木の柱に触れ、急な階段を自分の足で登り、狭間から城下を見下ろす。その体験は、写真や映像では決して置き換えられない。段差のひとつ、木肌のひとつに、積み重ねられた時間が宿っている。この「本物に出会える」という一点を、もっと自信を持って伝えていきたい。
連立式天守と呼ばれる複雑な構えや、大手を守る堅固な石垣も見どころだ。専門的な背景をわかりやすく届ける工夫があれば、訪れる人の満足はさらに深まる。案内や解説の質を磨くことは、大がかりな投資をしなくても始められる、地に足のついた一歩だと思う。
難しい歴史用語をただ並べるのではなく、「なぜここに狭間があるのか」「どうしてこの階段はこんなに急なのか」といった、暮らしや守りの理由に結びつけて語ることが大事だと考えている。物語として腑に落ちたとき、石垣も柱も、ただの古い建物ではなく、生きた歴史として立ち上がってくる。その語りを担える人を地域で育てていくことも、これからの課題だ。
季節と時間で、何度でも楽しめる城へ
松山城は、季節ごとに表情を変える。春の桜、夏の緑、秋の澄んだ空気、冬のきりりとした眺め。同じ城でも、訪れる時期で印象がまるで違う。この「何度来ても新しい」という魅力を、もっと打ち出したい。
朝の静かな時間、夕暮れの光、ライトアップの夜。時間帯によっても城は姿を変える。地元の人が家族と散歩がてら足を運びたくなるような、暮らしに溶け込んだ楽しみ方を広げていけば、観光客だけでなく市民にとっても身近な誇りになる。まちの人が愛する場所は、外から来た人にも自然と伝わるものだ。
周遊でまち全体をめぐってもらう
松山城を「登って終わり」にしないことが大切だ。城のふもとには城下町の面影が残り、少し歩けば道後温泉があり、正岡子規や夏目漱石ゆかりの文学の香りも漂う。城を起点に、まち全体をゆっくりめぐってもらう流れをつくりたい。
歩いて楽しい道、休める場所、次の目的地への分かりやすい案内。こうした小さな積み重ねが、滞在時間を延ばし、まちのにぎわいにつながる。城という一番の目玉を、まち全体の回遊のエンジンにしていく発想を大事にしたい。
周遊が広がれば、恩恵を受けるのは観光地だけではない。城下の商店や飲食店、宿、地元の生産者まで、まちで暮らし働く人たちに活力が行き渡っていく。観光を一部の場所の話に閉じ込めず、まち全体の元気につなげていく。松山城という強い引力を、地域経済の追い風に変えていきたいと考えている。
守り続けることを、まちの誇りに変える
木造建築を残すという地道な営み
現存天守は、放っておいて残るものではない。木造建築は、雨風や経年と向き合いながら、点検と修繕を絶え間なく続けてこそ次の世代へ渡せる。屋根、柱、石垣。それぞれに手をかけ続ける営みがあって、はじめて「本物」が保たれている。
この地道な仕事は、普段はあまり目に触れない。けれど、松山城が今日も凛と立っていられるのは、支える人々の技と努力があるからだ。守る営みそのものに光を当て、まちの誇りとして共有していくことが、保存を長く続けていく力になると考えている。
災害への備えも忘れてはならない。地震や火災、風雨から木造の文化財をどう守るか。備えは派手ではないが、万が一のときに宝を失わないための、何より大切な仕事だ。長い時間をかけて受け継がれてきたものを、私たちの代で途切れさせない。その責任を、地域みんなで分かち合っていきたい。
技術と担い手を、次の世代へ
文化財を守るには、伝統的な建築や修復の技術、そしてそれを担う人が欠かせない。技術は一朝一夕には身につかないからこそ、担い手を育て、経験を受け継いでいく仕組みを、地域として大切にしたい。
守る現場を、見学や学びの機会として少しずつ開いていくことも考えられる。子どもたちが本物の修復の現場に触れれば、松山城が「自分たちのまちの宝だ」という実感が芽生える。守ることへの理解と共感が広がれば、保存はまち全体で支える営みになっていく。
観光と保存を、対立させない
「たくさんの人に来てほしい」と「大切に守りたい」は、時にぶつかるように見える。しかし、この二つは工夫次第で両立できると信じている。丁寧に守られているからこそ本物の価値が保たれ、その価値があるからこそ人が訪れたくなる。
大切なのは、目先のにぎわいだけを追わず、長い目で城の価値を保つ視点を持つことだ。観光で生まれた活力を保存に還元し、しっかり守られた城がまた人を呼ぶ。この良い循環をつくることが、松山城を次の世代へつなぐ王道だと考えている。
私は、松山城を単なる観光の目玉としてだけでなく、松山という土地の物語そのものだととらえている。この城とともに歩んできた歴史があり、これから歩んでいく未来がある。守りながら活かし、活かしながら守る。その積み重ねの先に、子どもたちが胸を張れる松山の姿があると信じている。
よくある質問
Q1. 松山城の一番の魅力は何ですか。
1. 天守が復元ではなく現存であることです。
2. 本物の木造建築に触れ、登って体感できる点が他にない魅力です。
3. 市街地の中心にあり、気軽に登れる立地も強みです。
Q2. 「現存十二天守」とはどういう意味ですか。
1. 江戸期までに建てられた天守が今も残っているものを指します。
2. 全国でも数が限られ、松山城はそのひとつです。
3. 本物が残っていること自体が大きな価値です。
Q3. 松山城はどうやって登れますか。
1. ロープウェイやリフトを使って気軽に登れます。
2. 歩いて登る道もあり、体力や好みで選べます。
3. 天守からは瀬戸内の海と街並みを一望できます。
Q4. 観光と保存は両立できるのですか。
1. 工夫次第で両立できると考えています。
2. 丁寧に守るからこそ本物の価値が保たれ、人を惹きつけます。
3. 観光の活力を保存に還元する循環づくりが鍵です。
Q5. 城だけでなく周辺も楽しめますか。
1. 城下のまち歩きや道後温泉と組み合わせて楽しめます。
2. 子規や漱石ゆかりの文学の香りも近くにあります。
3. 城を起点にまち全体をめぐる周遊がおすすめです。
Q6. 木造の城を残すのは大変ではないですか。
1. 点検と修繕を絶え間なく続ける必要があります。
2. 伝統的な技術と、それを担う人の存在が欠かせません。
3. 守る営みをまち全体で支えていくことが大切です。
Q7. 市民は松山城とどう関われますか。
1. 散歩や家族の外出など、暮らしの中で親しめます。
2. 季節や時間で表情が変わり、何度でも楽しめます。
3. 守り伝える文化に関心を持つこと自体が支えになります。
まとめ
- 松山城は現存十二天守のひとつであり、本物に出会える松山だけの宝である。
- 観光は「点」で終わらせず、周遊でまち全体のにぎわいへつなげたい。
- 保存は日々の手入れの積み重ねであり、技術と担い手を次の世代へ引き継ぐことが欠かせない。
- 観光と保存は対立せず、丁寧に守ることが価値を高め、人を呼ぶ良い循環をつくる。
まずは、あなた自身が一度、松山城に足を運んでほしい。本物の天守に触れ、この宝を未来へつなぐ仲間になってもらえたら、これほど心強いことはない。
中野たいせいの想い
中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。
「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。