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松山観光の一人あたり消費を、もっと豊かに|滞在の質で高める高付加価値のすすめ
松山で観光の現場を歩いてきた私が描く、「安さ」ではなく「体験の価値」で選ばれる観光
松山には、道後温泉や松山城、文学のまちなみ、瀬戸内の海の幸という、滞在の価値を高める宝物がそろっています。私は松山で生まれ育ち、地域活性化を仕事にしながら、県議会議員として観光の現場を歩いてきました。その経験から確信しているのは、松山観光の一人あたり消費を豊かにする道は、値上げではなく、「ここでしか味わえない滞在の体験」を増やし、松山で過ごす時間そのものの価値を高めることだということです。安さで競うのではなく、体験の質で選ばれる。その前向きな道筋を描いていきます。
【この記事のポイント】
- 一人あたり消費は、宿泊・飲食・交通・体験・土産の積み重ねで決まります。
- 単品の値上げではなく、セット化や滞在プログラム化による高付加価値化が鍵になります。
- 新しい施設を増やすより、松山の旅館・商店街・歴史建築を活かす方が、無理なく続きます。
今日のおさらい:要点3つ
- 知りたいこと:松山観光の一人あたり消費を、どう高められるかを知りたい、ということです。
- その奥にある願い:観光で訪れた人にも、支える地元の事業者にも、豊かさを届けたい、という思いです。
- 次の一歩:滞在の質を高める体験を増やし、松山で過ごす時間の価値を上げていくことです。
この記事の結論
- 松山には、滞在の価値を高める宝物がそろっています。
- 客数頼みから、質の高い滞在型観光へ軸足を移す余地が十分にあります。
- 宿泊・体験・飲食のパッケージ化と、夜や雨の日の時間づくりが鍵です。
- 新しい箱より、既存の松山の資産を活かす方が、持続的で効率的です。
消費はどこで決まるのか。松山の滞在価値を見つめ直す
宿泊:一泊の「滞在価値」を丁寧に設計する
宿泊は、観光の消費全体を支える土台です。素泊まり中心だと、宿に回る予算が薄くなりがちですが、夕食や朝食、温泉、小さな体験を組み込んだ「滞在パッケージ」にすると、価値は自然に高まります。部屋のグレードや食事の質だけでなく、チェックインからチェックアウトまでの一続きの物語を設計することで、料金への納得感も深まっていきます。
見落とされがちなのが、チェックイン前とチェックアウト後の時間です。早めに荷物を預かってまち歩きを勧めたり、チェックアウト後に使えるラウンジや手ぶら観光を用意したりする。宿の枠を超えた滞在の体験を整えることで、「この宿を選んだから、松山の旅が丸ごと充実した」という喜びが生まれます。
飲食・土産:単価より「回数」と「場面」を増やす
飲食や土産では、無理に単価を上げるより、「立ち寄る回数」と「楽しむ場面」を増やす方が、長く続く豊かさにつながります。朝のカフェ、昼食、夕食、夜の一杯と、一日の中で自然に飲食の機会が生まれるまちの設計。「旅の締めのスイーツ」「帰りの電車で味わうお弁当」といった提案。こうした工夫が、松山での滞在をより満ち足りたものにしていきます。
松山には、みかんやじゃこ天、鯛めしといった食の魅力、砥部焼のような手仕事の魅力があります。それらにふれる場面を増やすことが、無理のない形で、旅の豊かさを広げていきます。
体験・アクティビティ:滞在を豊かにする決め手
体験のコンテンツは、松山での滞在の価値を大きく高める領域です。歴史ある建物を活かしたガイドツアーや文化の体験、海・山・温泉を活かしたアクティビティ、夜のライトアップや音楽のイベント。こうした体験は、訪れた人の心に深く残り、「松山でしか味わえなかった」という記憶になります。地元の暮らしや文化にふれる体験ほど、松山らしい価値を届けられます。
大切なのは、松山ならではの物語を体験に込めることです。ただ過ごす時間を、忘れられない時間に変えていく。そこに、滞在型観光の大きな可能性が広がっています。
松山観光の消費を高める、具体的な打ち手
相手に合わせて「理想の過ごし方」を設計する
まず大切なのは、「誰に、どんな旅を届けたいか」を具体的に思い描くことです。近くから訪れる日帰りの家族連れ、遠方から一泊する旅のカップル、数日かけて瀬戸内をめぐる方。それぞれに合った過ごし方と、ふさわしい商品のラインナップを組み立てていく。相手が具体的に見えるほど、届ける体験も磨かれ、満足度と消費の両方を無理なく高めていけます。
「とりあえず、みんなに」ではなく、一人ひとりの旅の目的に寄り添う。松山の懐の深い魅力は、幅広い相手に響くからこそ、届け方を丁寧に設計する価値があります。
宿泊+体験+飲食の「セット商品」をつくる
宿泊に、夕食や市内の周遊、文化体験を組み合わせたセット商品は、有効な打ち手です。平日限定のワーケーションのプラン、家族向けの動物園や科学館とワークショップを組み合わせたプラン。「別々に買うより、まとまっているとうれしい」と感じてもらえる形にまとめることで、満足度を保ちながら滞在を豊かにできます。
セットをつくる際は、「選べる自由」も大切です。すべてを固定にせず、「宿泊+選べる体験」のように一部を選択制にすると、旅行者は「自分だけの旅を組み立てている」という喜びを感じられます。この自由が、「もう一つ加えてみよう」という前向きな気持ちも自然に引き出します。
夜と雨の日の「時間」を、楽しく彩る
滞在を豊かにするうえで大切なのが、「何もすることのない時間」を減らすことです。雨の日限定の屋内ツアーや温泉めぐり、夕食後のまち歩きガイドやカフェをめぐるスタンプラリー、地元のミュージシャンによる小さなライブ。「時間を楽しく預かるコンテンツ」を増やすことで、松山での一日一日が、より満ち足りたものになっていきます。
松山の夜には、路面電車や城下町の情緒という魅力があります。その良さを活かし、夜の時間を彩る体験を丁寧に育てていくことが、滞在の価値をぐっと引き上げます。
松山の資産を活かした、持続的な高付加価値化
新しい箱の前に、既存資産の磨き上げを
新しい観光施設を建てることは、将来の維持や建て替えという負担を抱えます。それよりも、松山がすでに持つ旅館や商店街、歴史的な建物を活かし、空き家を一棟貸しの宿や小さなギャラリーに転用していく。公共施設の一部を、夜のイベントや働く場として活かす。こうした「今あるものの再活用」であれば、大きな借入をせずとも、滞在の価値を高めていけます。
松山には、磨けば光る資産が数多くあります。その一つひとつに息を吹き込むことが、まちの魅力を持続的に高める、堅実で賢い道だと私は考えています。
まち全体で、価格帯のバランスを整える
一部だけを高い価格帯に振り切ると、まち全体の印象が偏ってしまいます。手頃でも質の高い店、特別な体験を届ける場、地元の日常を感じられるスポットを、バランスよく配置していく。「どの予算でも、満足度が高い」と感じてもらえるまちをつくることが大切です。松山らしいのは、背伸びしなくても心から満たされる、その懐の深さです。
高い価値を届けることと、誰もが楽しめることは、両立できます。松山を、幅広い方が「来てよかった」と思えるまちにしていきたいと思います。
施設更新を見越した、長い目の投資計画
観光施設は、いずれ更新の時期を迎えます。内装や設備のリニューアル、耐震や省エネへの備えを見越して、売上の一部を計画的に積み立てておく。こうした長い目のキャッシュフローを意識しておくことで、「今の高付加価値化」が将来の負担にも無理なく対応できる形になります。目先だけでなく、先を見据えた設計が、持続する観光の土台になります。
松山の観光を、一過性ではなく、次の世代へと続くものにしていく。そのための堅実な備えを、事業者とともに大切にしていきたいと考えています。
よくある質問
Q1. 値上げすると、リピーターが減りませんか?
1. 体験の価値が伴えば、満足で選ぶ方が増えていきます。
2. 「安さ」より「満足度」で選ぶ層が定着します。
3. 結果として、単価もリピートも高まりやすくなります。
Q2. インバウンドと国内客、どちらを重視しますか?
1. どちらか一方ではなく、組み合わせが現実的です。
2. 平日と週末、季節ごとに主役を切り替えます。
3. 松山の魅力は、双方に響く懐の深さがあります。
Q3. 小さな宿や店でも、高付加価値化はできますか?
1. できます。少人数限定の体験やこだわりが強みです。
2. 「規模ではなく深さ」で勝負できます。
3. 一棟貸しの宿など、小さいからこその魅力もあります。
Q4. 予約サイトでは、値段勝負になりませんか?
1. 公式サイト限定の特典を用意するのが有効です。
2. 体験付きプランなど、比較では見えない価値を伝えます。
3. 「なぜこの価値なのか」を自分の言葉で語ります。
Q5. 滞在時間を伸ばすには、何が効果的ですか?
1. 二日目の午前やチェックアウト後の楽しみを用意します。
2. カフェや散策、働ける場などが動機になります。
3. 「もう一泊」「夕方まで」の理由をつくります。
Q6. 地元の人向けの取り組みも、消費に関係しますか?
1. 大いに関係します。地元ファンが平日を支えます。
2. 口コミや新商品づくりを一緒に育ててくれます。
3. その厚みが、観光向けの質も高めます。
Q7. 高付加価値化で、つまずきやすい点は?
1. 価格だけ先に上げてしまうケースです。
2. 接客や体験、発信が追いつくことが大切です。
3. 「なぜこの価値か」を物語で伝えることが欠かせません。
Q8. 何から着手すればよいか迷っています。
1. まず自施設の売上を「客数×単価」に分けて見ます。
2. どこに伸びしろがあるかを、丁寧に把握します。
3. 代表的な体験プランを、一つ試作してみるのが近道です。
まとめ
- 客数頼みではなく、滞在の質で選ばれる観光へ軸足を移していきます。
- 宿泊+体験+飲食のパッケージ化と、夜や雨の日の時間づくりが鍵です。
- 新しい箱より、松山の既存資産を活かす方が、持続的で効率的です。
松山で育ち、観光の現場を歩いてきた私は、訪れる人にも支える事業者にも、豊かさが行き渡る観光をつくりたいと願っています。安さで競うのではなく、松山でしか味わえない体験の価値で選ばれるまちへ。まずは、あなたのお店や地域が「どんな体験を届けられるか」を思い描いてみてください。その一つひとつが、豊かな松山観光をつくる確かな力になります。
中野たいせいの想い
中野たいせいは、松山で暮らす一人ひとりの声に耳を傾け、 子育て、福祉、防災、交通、地域経済など、生活に直結する課題に向き合っています。
「松山をもう一度元気にしたい」。 その想いの原点や、まちづくり・防災・生活密着型政策への考え方を、こちらの記事で詳しく紹介しています。